ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織でさがす > 秘書課 > 平成31年度施政方針

平成31年度施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2019年2月20日更新 <外部リンク>

はじめに

市長の写真平成最後の年、平成31年を迎えました。
5月1日に「次の年号」に改元され、新しい時代の幕開けの年は、これまで先人たちが築いてきた素晴らしい周南市を次の時代へと引き継いでいく大切な年になります。

市民の皆さまが安心して幸せに暮らすことができるまち、そして、未来への夢と希望を持ち続けることのできるまちを、いかに実現していくか。
そのためには、今こそ、あらゆる英知を結集し、「さらなる挑戦」をスタートしなければなりません。

特に、昨年は、私が市長に就任して以来蒔いてきた種が芽吹き、まちの玄関口である徳山駅ビル、そして、市役所本庁舎が次々と生まれ変わり、まちが大きく動き始めました。この動きを確かなものとし、まちの活力、市民の皆さまの幸せと喜びにつなげてまいります。

また、市が発注する工事において、職員が逮捕・起訴され、さらに、不適切な事務処理が発覚し、市政に対する信頼を大きく損ねる事態となりました。現在、再発防止のほか、職員への公務員倫理やコンプライアンスの徹底を、私自身が先頭に立って進めており、引き続き、「市民に信頼される市役所」を目指し、決意を新たに、全力で取り組んでまいります。

まちづくりに欠かせない力は「連帯する力」です。
“共に”支え合い、助け合い、分かち合う大切さを再認識し、新たなまちづくりへの結束を促す。
今を生きる市民のため、そして、未来を生きる市民のために、“共に”未来に贈りたい周南市(まち)をつくっていこうではありませんか。

それでは、第2次まちづくり総合計画・前期基本計画の7つの主要プロジェクトに基づき、平成31年度の取組みに対する私の思いを述べさせていただきます。

社会で育む少子化対策プロジェクト  

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
1つ目は、「社会で育む少子化対策プロジェクト」についてであります。

子どもへの投資は、未来への投資です。
誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりへの挑戦を進めてまいります。

乳幼児・こども医療費の助成対象を中学校3年生まで拡大し、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ります。

来年度から、妊娠・出産を希望する夫婦のために、風しん等予防接種費用の助成を始めます。さらに流産を繰り返す等により子どもを持てない「不育症」の方の治療費助成も開始し、生まれくる生命(いのち)、育ちゆく生命(いのち)をしっかり守ります。

また、今年の10月から実施予定の幼児教育の無償化を着実に進めてまいります。

相談・支援体制のさらなる強化にも挑戦します。
「不安なことを相談できて気持ちが楽になった」
「同じ境遇の方と話すことで安心できた」
平成28年6月に保健センター内に開設した「子育て世代包括支援センター はぴはぐ」は、開設以来、600件を超える相談対応や産後の支援を実施してきました。来年度は、「こども家庭相談室」を市役所本庁から保健センターに移し、「はぴはぐ」と一体となった「子ども家庭総合支援拠点」を設置します。子どもの虐待など多様化する問題に対して、より専門性の高い支援を進めてまいります。

ICTを活用した新たな子育て支援にも挑戦します。
病児保育施設の空き状況をスマートフォンで確認し、予約もできる病児保育のICT化に向け、行政として全国初の実証実験に山口県とともに取り組みます。

「生まれ育った環境によって将来が左右されることなく、学び、チャレンジできるまち」への取組みをさらに進めてまいります。

「お兄さんが勉強を教えてくれてうれしかった」
「こんな居場所が増えることを望んでいます」
「子どもと触れ合うことで元気をもらっています」
今年度「子どもの居場所づくりモデル事業」として久米地区と富田地区で実施した「周南こどもハウス」に参加した子どもや保護者、そして、この事業を支えているボランティアスタッフから届いた声です。

平成30年6月に、私を本部長とする「子どもの明るい未来サポート推進本部」を立ち上げ、職員研修等の全庁的な取組みや「子どもの居場所づくりモデル事業」などを進めてまいりました。こうした取組みが高く評価され、来月、3月14日には、内閣府主催の子どもの貧困対策をテーマとしたフォーラムが開催されます。
来年度は、地域の担い手に向けたスキルアップ研修を開催し、社会全体で子どもを育む取組みを確かなものにしてまいります。

さらに、今年度は、経済的な理由で修学が困難な学生を対象とした給付型の「修学支援奨学金」と、大学等を卒業後、市内に3年以上住み続けた場合に返済が不要となる「定住促進奨学金」を創設し、延べ8人が利用されました。来年度はこの制度をさらに拡充してまいります。

他市から転入された親御さんから、「周南市は子育てしやすいまちですね。ずっと住みたいです」と嬉しい言葉をいただく機会が多くなりました。これまで進めてきた子育て支援の成果が確実に現れていることを実感しています。

「子育てするなら周南市」
子育て世代に周南市を選んでいただける取組みをさらに進めてまいります。

揺るぎない安心安全プロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
2つ目は、「揺るぎない安心安全プロジェクト」についてであります。

記録的な集中豪雨や台風、大規模な地震など、これまでに経験したことのない様々な災害が、いつ、どこで起きるか予測できないという状況の中、多くの市民の皆さんが不安を抱いておられます。
私は、平成30年7月豪雨を経験した市長として、この経験を教訓に変え、市民の生命(いのち)と財産を守り、誰もが安心して暮らすことのできる「災害に強いふるさと周南」を築いてまいります。

4月から、「防災情報収集伝達システム」の運用を開始します。複数の情報収集伝達手段を確保し、情報を伝えるだけでなく、河川の水位や雨量を監視し、災害対策本部、総合支所、支所、自主防災組織、災害現場にいる職員などが情報をやり取りできるようになります。

また、コミュニティFM放送を活用し、市内全域に防災情報を伝達するとともに、Jアラートや市からの緊急情報を市民の皆さまに確実にお届けするために、緊急時は自動で電源が入る「防災ラジオ」の普及を進めてまいります。

7月豪雨の災害対応の検証に基づき、災害対策本部の設置基準や初動体制など21項目の見直しを実施いたしましたが、来年度も、さらなる災害対策の強化に取り組みます。
熊毛総合支所につきましては、執務室を1階フロアに集約することで、職員の連携強化や市民サービスの効率化、迅速化をさらに図るとともに、2階フロアは、災害時には現地災害対策本部を設置するなど有効に活用します。

さらに、河川の氾濫や土砂災害によって住宅等敷地へ土砂が崩落又は流入した場合の早期復旧を支援するため、新たに土砂撤去経費を助成する制度を創設します。
また、山口県では、富田川や7月豪雨で浸水被害をもたらした島田川など、県が管理する河川の洪水浸水想定区域の見直しを順次進めておられます。これに伴い、市では河川の氾濫に対する平常時からの備えや避難に役立てていただく「洪水ハザードマップ」を改定し、関係する約1万2千世帯へ配布します。

さらなる消防力の強化にも取り組んでまいります。
消防団の消防車両や消防用ホースを更新します。また、消防本部では、高規格救急自動車を更新するとともに、救急救命士や救急隊員の教育を担う指導救命士を養成します。

そして、これまで約半世紀にわたり本市西部地域の消防拠点として安心安全を支えてきた西消防署の建替え工事に本格的に着手します。

住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けることのできる「地域包括ケアシステム」の構築に引き続き取り組んでまいります。

在宅医療と介護の連携に取り組んでいる「あ・うんネット周南」では、「在宅療養と看取り」の啓発活動として、専門職を対象に研修会を開催し、300名以上の医療・介護関係者が参加されました。

また、地域での助け合い、支え合い活動の創出を目的とした話し合いの場である「協議体」が、本年1月末現在、市内6地区で設置され、地域の実情に応じた、地域での居場所づくりや、ゴミ出し、買い物支援などの仕組み作りが検討されています。
さらに、このような取組みを市内31地区に広げてまいります。

「子どもの安心安全は待ったなし」という強い思いから、学校施設の危険ブロック塀の撤去を着実に進めています。また、熱中症対策や快適な学習環境づくりに向けた取組みである中学校普通教室への空調設備は、今年度5校、来年度は残り9校を整備し完了します。そして、小学校については、2020年度内の整備に向けて、スピード感を持って取り組んでまいります。

古川跨線橋の架替えにつきましては、いよいよ来年度から工事に着手します。この架替え工事は長い年月を要することから、関係する市民や企業の皆さまに多大なご不便をおかけしますが、渋滞対策や安全対策にしっかり取り組んでまいりますので、引き続き、ご理解ご協力を賜りますようお願いします。

市民の生命(いのち)と生活の安心安全は、次世代のまちを創造し、誇りの持てる周南市をつくっていくための基盤であります。
だれもが安心して暮らすことができる「ふるさと周南」をつくってまいります。

自立した地域づくりプロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
3つ目は、「自立した地域づくりプロジェクト」についてであります。

「木村君、コミュニティを大切にしてくれよ。地域が元気でなければ、まちは活性化しないからな」
今年1月16日、94歳で亡くなられた小川亮 元徳山市長のご自宅を訪問する度にいただいた言葉であります。

全国に先駆け、まちづくりの礎となる小学校区ごとのコミュニティを立ち上げられた小川元市長の思いを大切に引き継ぎ、これからも市内31のコミュニティ活動をしっかり支援してまいります。

これまで、12地区で、住民が主体となって策定された「夢プラン」により、地域の困りごとの解決や、魅力の拡大に向けた具体的な取組みが始まっています。
現在、夢プラン策定に向けた話し合いは、今宿、夜市、湯野、鼓南、鹿野の5地区で行われており、中山間地域から都市部やその周辺部に広がっています。
都市部で初めて取り組む今宿地区では、若い世代が中心となり50回にもおよぶ会議を経て、3月末に夢プランが完成します。

また、三丘地区では、高さ4.2メートルもある巨大なイスが地域のシンボルとして製作され、地域の皆さんが憩える「ゆめ広場」づくりが始まりました。須々万地区では、地元の食材をふんだんに使った「須々万鍋S-1グランプリ」が開催され、回を重ねるごとに盛り上がるなど、それぞれの地域特性に応じた取組みが始まっています。
来年度も引き続き、夢プランの策定とその実現に向けた活動を支援してまいります。

「新たな連携や繋がりが出来た」
「これまでは思いがあっても動けなかったが、共創プロジェクトのおかげで一歩踏み出せた」
共創プロジェクトで活躍する方々からいただいた言葉です。
大津島産のすだいだいを使用し、特産品として開発した地ビール「島(しま)麦酒(ばくしゅ)SUDAIDAI」は昨年400万円を売り上げ、今年は昨年の3倍となる1万8千本が販売されます。

須々万地区では、休耕田や耕作放棄地を活用して新たな特産品を開発する「すすま黒大豆プロジェクト」が始まりました。また、三丘地区では、空き家を改修し、移住・観光情報の発信などを行うカフェ「タベルナタベタ?」がオープンし、4名の雇用が生まれ、地域の憩いの場として賑わっております。

平成28年度から始まった「共創プロジェクト」を契機として、市民活動団体や企業、NPO等が連携して26件のプロジェクトが誕生し、まちの価値を高める新たな挑戦が始まっています。
来年度は、研修の充実による担い手の育成やプロジェクトに挑戦する団体の支援に取り組んでまいります。

そして、地域づくりの活動拠点「市民センター」の整備を着実に進めてまいります。地域の皆さまとともに検討を重ねながら進めてきた、長穂地区と遠石地区の市民センターは、2020年度内の供用開始を目指し、建設工事に着手します。

地域づくりは人づくりであります。今、公共に対する高い意識を持つ市民が増え、様々な場面で活躍しています。
市民の「知恵」を地域づくりに生かす取組みをさらに進めてまいります。

まちじゅう賑わいプロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
4つ目は、「まちじゅう賑わいプロジェクト」についてであります。

「徳山駅ビルをカジュアルな図書館にしたい」と、私が想い描くイメージをもとに、課題を一つひとつクリアし、昨年2月3日、徳山駅前賑わい交流施設と徳山駅前図書館をオープンしました。
来館者は、オープンして1年で200万人を超え、新たな人の流れや賑わいが生まれました。この流れを中心市街地に呼び込もうと、民間団体が主体となって「徳山あちこちマルシェ」や「とくやま夢横丁」など様々な取組みが始まり、歩行者通行量は、目標値を上回り、2万8千883人となりました。

そして、秋には徳山駅北口駅前広場が完成します。
本市の玄関口として、また、憩いの場として、さらなる賑わい創出へとつなげてまいります。

市役所本庁舎も、5月には2期工事が終わり、市民の新たな活動、交流、憩いの場となるカフェレストランや市民会議室などが入るシビックプラットホームと駐車場が完成し、グランドオープンします。

さらに、まちなかにある動物園として親しまれ、毎年進化を続ける徳山動物園では、スリランカゾウのミリンダとナマリーの新居となる国内最大級の大きさを誇る新ゾウ舎がこの春、オープンします。

市民の皆さん、まちの未来は、もう始まっています!

次々と生まれ変わるまちのシンボル。

それらを有機的に結び付け、個々に生まれるまちの賑わいを点から線、線から面へと中心市街地全体に広げていくとともに、誰もがもっと自由に、もっと気軽に、もっと楽しく移動できるまちを目指し、市街地循環線「ちょい乗り100円バス」を運行します。

さらに、これまで進めてきた拠点整備の効果を高めるために、都心軸の景観形成や最適な土地利用などを検討し、「パークタウン周南」にふさわしい誰にとっても居心地の良い空間づくりを進めてまいります。

そして徳山駅前地区市街地再開発事業。
再開発準備組合と商工会議所等との連携により、2022年度の竣工を目指した事業が本格的に動き始めました。
私は、このまたとないチャンスを確実に成功へと導くために、官民一体で必ずやり遂げるという強い意志を持って取り組んでまいります。

また、コンパクト・プラス・ネットワークの強化に向け、徳山駅だけでなく、他の交通結節点の環境整備を進めてまいります。
本市の副都心である新南陽駅周辺地区では、老朽化したJR新南陽駅のトイレや新たな駐輪場整備に着手します。また、JR櫛ヶ浜駅のトイレ整備に取り掛かり、公共交通を利用する皆さまの利便性向上を図ってまいります。

次に、観光振興であります。
「周南工場夜景」ツアーは、企業や店舗などが幅広く連携し魅力度アップに取り組んできた成果により、参加者の増加につながっています。
また、明日2月21日に行われますJR岩徳線を活用した地酒列車ツアーは、販売開始後1時間で完売となりました。
このような地域固有の資源を磨き、新たに活用し、体験・交流型の要素を取り入れた旅行形態である「ニューツーリズム」をさらに進めてまいります。

また、今年度、徳山港周辺で開催した第2回周南みなとまつり「みなとのミーツ」は2万人の来場者で賑わいました。前日の地酒横丁にも多くの方が来場し、夜のまちの賑わいにつながりました。

引き続き、周南観光コンベンション協会をはじめ、関係団体とともに、交流人口の拡大に取り組んでまいります。

未来を見据えた幅広い施策を官民が一体となって“共に”取り組むことで、都市の魅力を高め、市民の幸せと喜びにつなげてまいります。

産業活力・富の創出プロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
5つ目は、「産業活力・富の創出プロジェクト」についてであります。

製造品出荷額約1兆1千億円、山口県全体の約20%。

製造業を中心とするコンビナート企業群は、本市を支える太く大きな柱であります。
周南コンビナートをはじめとする企業の設備投資や雇用創出を後押しする事業所等設置奨励補助制度は大きな成果を挙げています。この制度を活用した設備投資により、平成27年度から平成29年度までの3年間で、固定資産税収入は約13億2千万円増加し、新たな雇用も創出されるなど、経済活性化、人口定住に大きく寄与しています。

来年度は、この補助制度を更新、拡充し、製造業と密接に関連する物流業を新たに対象とするとともに、一定規模以上の土地取得を伴う設備投資に対して、インセンティブを加えた支援を行うこととし、企業立地のさらなる促進に取り組みます。

そして、本市最大の地域資源は港であります。
私は、中国地区港湾協議会の会長に就任し4年目を迎え、適宜、国土交通省幹部との意見交換を行っております。これまで築き上げてきた人脈を生かし、徳山下松港の港湾機能のさらなる強化に取り組んでまいります。

また、東京圏から本市に移住し起業される方や中小企業等へ就職される方を、国の制度を活用し支援します。

次に、「水素先進都市周南」へ向けた取組みであります。

「全国の水素ステーションで、この技術を活用してほしい」
水素ステーション用高圧配管の溶接技術を開発し、中四国地方で初めて高圧ガス保安協会の認証を受けた市内の中小企業経営者の言葉から熱い思いを感じました。
次世代のクリーンエネルギーである水素を活用したビジネスは、大企業のみならず、中小企業でも着実に成果を挙げています。

来年度も、引き続き先進的な水素の実証実験に取り組むとともに、これまで培ったノウハウやネットワークを生かし、さらなる挑戦に取り組んでまいります。

若者や女性がこのまちを選び、自ら活躍の場を見出し、いきいきと輝きながら暮らすことのできるまちづくりを進めてまいります。
商工会議所や金融機関等と連携した創業支援により、平成26年度から平成29年度までの4年間で114人の方が創業され、そのうち、54人は20歳代、30歳代で、多くの若者の起業・創業につながっています。
また、今年度、東京に本社を構えるIT企業がPH通りの空き店舗に事業拠点を設置され、時間や場所にとらわれない働き方として期待されるテレワーク事業を開始されました。

来年度も、クリエイティブ産業や情報・通信産業等を誘致し、新たな雇用につなげてまいります。特に「女性雇用マッチング事業」では、就職に向けた学習機会の提供をはじめ、様々な情報発信を通じて、女性の雇用促進を進めてまいります。

現在、本市では、木質燃料の混焼率を15%から20%に高めた新たな発電所の建設が進められており、また、木質燃料を活用したバイオマス発電事業の検討も開始されております。
来年度は、これらの発電事業で使用する木質燃料について、現状の輸入材から周南市産の木質燃料へのシフトを図る「緑山バイオマス材生産モデル事業」を創設します。

エネルギーの地産地消と林業の活性化という本市ならではの全国初の取組みは、コンビナートと林業の経済循環モデルとして全国にも波及できる仕組みであることから、私が持つ国とのパイプを生かし、本年1月には、林野庁との協議を始めたところであります。
この「緑山バイオマス材生産モデル事業」を、国策とも連動しながら、新たな挑戦として取組みを進めてまいります。

地域特性を生かした産業活力のさらなる強化に取り組み、未来につながる富の創出に挑戦してまいります。

中山間地域振興プロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
6つ目は、「中山間地域振興プロジェクト」についてであります。

4月1日、須金地区と須々万地区を結ぶ県内初となる新たな生活交通が運行を開始します。

須金地区では、身近な暮らしの確保に向けて、買い物や医療など一定の生活機能を有する須々万地区への生活交通システムを検討され、その結果、2つの地区の連携・協力により実現することとなりました。
こうした、地域の枠を超えた新たな生活圏づくりにも取り組みながら、引き続き、持続可能な中山間地域づくりを支援してまいります。

そして、農業への挑戦も続けます。
本市の約7割を占める中山間地域においては、急速な過疎化、農業離れにより、集落機能が著しく低下しています。

こうした中、「技術研修」「農地の確保」「機械・施設の整備」「住居の確保」をパッケージで支援する制度を平成27年度より開始し、新たな担い手の確保と育成を図ってまいりました。
地域の方もこの取組みにご理解とご協力をいただき、鹿野地域では、移住されてきた新規就農者が伝統行事や清掃活動、懇親会等に積極的に参加し、交流が深まることで、地域に活気が生まれています。

新規就農者は60人を超え、若手農業者の会「ミーツ」も立ち上がり、勉強会の開催やイベントへの出店など、活動の輪が拡がっています。

これまでも、新規就農者など若者による「トマト・わさび・ほうれん草・イチゴ」の地域ブランドの産地化を進めてまいりました。

特に来年度は、次なる挑戦として、『周南市産わさび』のブランド確立と全国トップクラスの流通量の確保に向けて、あぐりハウスの機能強化を図ります。

持続可能な中山間地域の振興を担う人材を育て、中山間地域から周南市の未来を拓く挑戦を続けてまいります。

将来に向けた行財政経営プロジェクト

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。
7つ目は、「将来に向けた行財政経営プロジェクト」についてであります。

平成15年4月に合併した周南市は、これまで合併のメリットを最大限に活用し、まちづくりを進めてまいりましたが、今年度ですべての合併優遇措置が終了することから、市の財政状況も一段と厳しさを増してまいります。
その意味で、来年度は、持続可能なまちづくりに向けた、新たな挑戦を始める大切な一年であります。

第3次周南市行財政改革大綱に基づく様々な改革による効果額は、平成27年度から平成29年度の3年間で約61億円となり、まちづくり総合計画を推進する上での財源不足の解消や行政サービスの向上に大きく寄与しました。

来年度も、「ヒト・モノ・カネ」を最大限に有効活用し、効率的で効果的な事業展開を図ることで、引き続き、行財政改革を着実に進めるとともに、2020年度からスタートする次期行財政改革大綱の策定に取り組みます。

また、「待ったなしの問題」が公共施設の老朽化対策であります。

周南市公共施設再配置計画に基づき、公共施設の最適化と身の丈に応じた施設保有量の実現を着実に進め、平成29年度末までに、延床面積約3万3千平方メートルを削減しました。
引き続き、この取組みを着実に進めるとともに、施設の長寿命化にも取り組んでまいります。
特に、70%以上が建設後30年を越えている学校施設については、中長期的な維持管理や改修時期等を盛り込んだ長寿命化計画を策定します。

また、国内最大の石炭火力自家発電能力を有する周南コンビナートと中心市街地が隣接している特性を生かし、今年度よりコンビナート電力を市役所本庁舎と徳山駅前賑わい交流施設へ供給する取組みを開始しました。
24時間365日稼働するため何重もの停電防止策が講じられた「安定」した電力を「安価」に長期的に利活用することで、引き続きライフサイクルコストの削減に取り組んでまいります。

新南陽総合支所は、昨年8月にイオンタウン周南に移転し業務を開始いたしました。今後の総合支所の方向性につきましては、将来のまちづくりをしっかりと見据える中で地域の皆さんとともに知恵を出し合いながら検討してまいります。

鹿野総合支所は、「コアプラザかの」を増改築して、その機能を移転し、あわせて、ホール機能を持った多目的スペースなどを整備するために基本設計に着手します。
また、総合支所跡地については、鹿野地域の将来に役立つ活用方法を皆さまとともに検討してまいります。

先人たちが築いてこられたこの素晴らしい周南市を礎とし、自立した持続可能なまちづくりを支える行財政改革のさらなる推進に取り組んでまいります。

上記7つのプロジェクトに属さないが特記すべき重要な施策や想い

これまで説明しました7つの主要なプロジェクトにはございませんが、特に強い想いを持って進めたい主な取組みについてであります。

劇団「四季」のミュージカルを周南市文化会館で鑑賞する中学生。
毎年行われている「中学生芸術鑑賞会」では、本物の舞台芸術を鑑賞することを通じて、豊かな感性と創造力、そして感動する心を育んでいます。
文化会館だけでなく、美術博物館、コンビナート企業など地域資源を活かし、本物の文化や芸術、科学技術に触れる学習を通じて、引き続き、本市ならではの特色ある教育を進めてまいります。
また、来年度は、取組みを始めて7年が経過したコミュニティ・スクールのさらなる充実を図るとともに、教員が子どもに接する時間を十分に確保するため、授業準備や学級事務等の補助業務を行う学校業務支援員を倍増して小中学校に配置します。

生命(いのち)や平和の尊さを伝えてきた回天記念館は、昨年開館50周年を迎えました。今年の3月には記念誌を発行するとともに、来年度は、収蔵品をデータ化して閲覧できるようにするデジタルミュージアムシステムを導入します。

「じゆう(自由)、びょうどう(平等)、いのち(生命)」をキーワードとした周南市人権行政基本方針の趣旨に沿い、市民一人ひとりの人権が尊重されるまちの実現をめざして、あらゆる機会での啓発等に引き続き取り組んでまいります。

今年の10月には、消費税・地方消費税の税率引上げが予定されております。
住民税非課税の方や3歳未満の子育て世帯の負担軽減を図るとともに、地域における消費喚起等を図るため、商工会議所や商工会等と連携し、プレミアム付商品券を発行します。

休日夜間急病診療所は、著しく老朽化が進んでいることから、徳山中央病院近くの市営住宅跡地に、2021年度の供用開始を目指して整備いたします。

生涯を通じた歯と口腔の健康づくりにも取り組んでまいります。
この度の議会に、「周南市民の健康を支える歯と口腔に関する条例案」を提出させていただきました。
歯と口腔の健康を健康寿命の延伸へつなげるため、来年度から節目の年齢で受診できる歯周疾患検診を無料とし、口腔がんの予防を目的とした検査項目を追加します。

周南市の愛称を活用したシティプロモーションでは、これまで市民や民間団体の皆さまとともに様々な企画を考え、市民力を生かした活動を支援してきたほか、本市の認知度向上のために、全国紙への一面広告や職員自らが広報マンとなり47都道府県を巡る全国キャラバンなどを行ってまいりました。

その効果の1つとして、平成28年度は約450万円だったふるさと納税は、平成29年度には約3千800万円、そして今年度は1月末現在で、約8千700万円となりました。

今後も市民や民間団体の取組みを支援するとともに、これまでの経験や成果を生かし、2022年2月の徳山港開港100年をも視野に入れた戦略的なシティプロモーションを市民の皆さまとともに進めてまいります。

ボートレース徳山は、好調な売上を維持しており、本年12月に賞金女王決定戦のプレミアムG1競走「クイーンズクライマックス」を開催します。ボートレース収益の一部は「子ども未来夢基金」に積み立て、乳幼児・こども医療費の助成、小中学校の空調設備の整備など、全て子どもたちのために活用しています。
今後さらなる収益増に向けて、新中央スタンドを基軸として、イメージアップや認知度の向上、そして新規ファンの獲得を進めてまいります。

おわりに

日本の近代化に大きく貢献した郷土の偉人児玉源太郎は、私財を投じて明治36年、「児玉文庫」を開設し、ふるさとの教育に大きく貢献しました。戦後、戦災で焼失した児玉文庫の復興を望む市民の声は、昭和23年に開館した市立図書館へ、さらに、現在の周南市立中央図書館へとつながりました。

そして、児玉源太郎顕彰会をはじめとした多くの市民の皆さんの声に応え、中央図書館に「児玉文庫メモリアル」という愛称をつけ、その名を全国に広めてまいります。
児玉源太郎が故郷(ふるさと)に託した志を、明治、大正、昭和、平成、そして、次の時代へと引き継いでまいります。

“共に。”未来へ贈りたい周南市(まち)をつくる。

まちづくりとは、先人から受け継いだ素晴らしいこのまちを、次の世代へと贈っていくことであります。
今を生きる市民の幸せ、そして、未来の市民のために、まちづくりを進めていく。それが、市長としての大切な使命であります。

人口減少社会を迎え、国をあげて地方創生の取組みを進めておりますが、地方を取り巻く環境はますます厳しい状況にあります。
その中にあっても、来年度は、未来に贈りたい周南市(まち)をつくるため、市民の皆さまの英知を結集し、2020年度からスタートする「周南市まちづくり総合計画」後期基本計画の策定に取り組んでまいります。

すべては、このまちの未来のために。

“共に”の想いで挑戦する周南市政への変わらぬご理解、ご協力を重ねてお願いします。

“共に”進めてまいりましょう。

平成31年2月20日
周南市長 木村 健一郎

平成31年度施政方針 [PDFファイル/559KB]

用語の解説 [PDFファイル/321KB]

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)