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平成29年度施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2017年2月22日更新 <外部リンク>

はじめに

木村市長が議場で施政方針を発表している場面「なくてはならぬ人となれ」

粭島小学校の校庭にあるモニュメントには、石丸好助の言葉が刻まれています。
明治8年、「海を渡る神輿」で有名な貴船神社の近くに生まれた好助は、日本の北洋漁業の先駆けとなり、郷土の発展に尽くす生涯を送りました。
好助は、明治40年に日露漁業協約が結ばれ、北海道の北方での漁業が可能になると、いち早く北方漁場の開拓に積極果敢に挑み、幾多の苦難を乗り越えて成功を収めます。
56歳の時、サケ・マス漁をやめて、粭島に帰ってきてからも、青年教育のために粭島公会堂を寄贈し、太華村の村長だった4年間には、小学校の建設や大島半島と粭島を結ぶ小瀬戸橋を架けるなど次々と島に必要な事業に取り組み、郷土の発展に尽くしました。
自分を育ててくれた粭島を愛し、そして、粭島の発展のために尽くすことに喜びと誇りを持ち続けた好助。
私自身、粭島にはよく行きますが、まさに「なくてはならぬ人」となった好助の想いは、次の世代へと引き継がれていると、実感しています。

周南市民の人柄は、まじめで、おおらかで、人想いです。
それは、周南市という土地が生んだ、大切な宝物であります。
そんな人柄に囲まれて生きる幸せを、改めて市民の皆さんに知ってほしい。
その想いから、平成29年度施政方針表明の冒頭にあたり、石丸好助の話をさせていただきました。

私たちが先人から受け継いできた周南市は、今、歴史的にも大きな節目の時を迎えています。特に、今年から来年にかけては、市民の皆さんに愛され親しまれてきた、まちの玄関としての徳山駅前、そして、安心安全の拠点としての本庁舎が次々に生まれ変わります。
この一連の大変化をまちの活性化につなげ、市民の幸福度を高めていく。その大きな目標に向け、この二度とない千載一遇のチャンスを最大限に生かし、本市の魅力を発信するシティプロモーションを、市役所が一丸となって、市民の皆さんと共に推進します。
周南市は、合併して15年目を迎えますが、「周南市の知名度は低い」と言わざるを得ません。
今年の1月22日から本格的にスタートした「しゅうニャン市プロジェクト」。「しゅうニャン市」は親しみのある愛称として、周南市の知名度アップに大きな効果をあげています。
このプロジェクトをしっかりと軌道に乗せるためには、市全体の気運づくりと市民の連携が大切です。
周南市という他にはない素晴らしいまちに暮らしている幸せ。
市民の心に、その誇りと愛着を呼び覚ましたい。
出身者の方にも、ふるさとの元気な姿を届け、まちへの「誇り」を高め、「愛着」を更に深めたい。
このまちに想いを持つ一人ひとりが自分にできることを通じて、プロジェクトに参加し、周南市をもっともっと好きになる。
また、これから周南市を訪れる人、移住する人、まだ見ぬ未来の周南市民にも、周南市を大好きになってほしい。
そんな、たくさんの人に愛されるまちへの想いを、このプロジェクトに込めました。

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。

市民の皆さんと“共に”ワクワク、ドキドキするまちをつくり、次の世代に贈る。
皆さん、「生まれ変わっても、このまちで生まれたい」と思える、私たちのまち周南市を“共に”創っていこうではありませんか。

それでは、第2次まちづくり総合計画・前期基本計画の7つの主要プロジェクトに基づき、平成29年度の取組みに対する私の想いを述べさせていただきます。 

社会で育む少子化対策プロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
1つ目は、「社会で育む少子化対策プロジェクト」についてであります。

子どもは地域の宝です。そして、次世代への支援は、未来への投資です。誰もが安心して子どもを生み育てられる環境づくりを更に進め、「子育てするなら周南市」を目指します。

昨年4月に「こども健康部」を設置、6月には、「子育て世代包括支援センターはぴはぐ」を開設し、妊娠・出産・子育てに関する様々な相談にワンストップで対応する体制を整えました。「はぴはぐ」で月2回実施する助産師や保健師等の専門家による相談支援には、1月末現在で延べ139組、1回あたり約9組の利用があり、利用者から、
「授乳等の悩みに向き合ってもらえ、育児の見通しを持つことができた」
「育児不安や孤立の解消につながった」
との声をいただいております。また、産科医療機関等で出産後の心身のケアや育児サポートを受ける「産後ケア事業」に加え、平成29年度は、妊娠中や出産後、育児や家事の援助が必要なご家庭へ、ホームヘルパーを派遣する取組みも開始いたします。引き続き、子育て家庭に寄り添った支援体制の充実を図り、「周南市版ネウボラ」の実現に取り組みます。

また、昨年4月より、子育て家庭の経済的負担の更なる軽減を図るため、子どもの医療費助成制度の対象を小学校6年生まで拡充しましたが、平成29年度は「子どもたちが、生まれ育った環境によって将来を左右されることがあってはならない」との想いから、子どもの貧困対策に向けた大きな一歩を踏み出します。
まずは、貧困の世代間連鎖を断ち切るために、「子どもの生活に関する実態調査」を幅広く実施し、貧困の実態を「見える化」することにより、本市の実情に応じた総合的な子どもの貧困対策のあり方を検討します。

次に、保育所及び幼稚園、学校教育についてです。

この4月、公立保育所の再編整備として、民間保育所2施設が新たに開設されます。平成29年度も引き続き、民間事業者との連携を図り、公立保育所の民営化に向けた取組みを着実に進めてまいります。
また、新たな取組みとして、県内初となる、幼児教育アドバイザーを保育幼稚園課内に設置し、保育所・幼稚園・認定こども園の枠を超えて本市全体の幼児教育の質の向上を図ります。

学校教育では、平成30年度までにタブレット型情報端末をすべての小中学校に導入し、校内無線LAN環境を整備するとともに、学習に集中できる教育環境を確保するために、中学校の空調整備を計画的に進めます。

そして、本市教育の大きな特色でありますコミュニティ・スクール等の取組みを通じて、保育所、幼稚園、認定こども園、小中学校が「地域で育てたい子ども像」を共有し、「地域と“共に”ある学校づくり」を推進し、「ふるさと周南」に誇りと愛着をもった心豊かな子どもを育ててまいります。

揺るぎない安心安全プロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
2つ目は、「揺るぎない安心安全プロジェクト」についてであります。

自らの命と財産は自分で守る。
隣近所が助け合って、自分たちの地域を守る。
そして行政は、個人や地域の取組みを支援しながら、自助・共助では解決できないことに取り組む。
自助、共助、公助。そして個人、地域、行政がその役割をしっかり担うことで、安心安全なまちづくりへの取組みを揺るぎないものにします。

自主防災組織率100%。
自主防災組織の意識の高さは本市の誇りであります。
平成26年度より毎年11月の第3日曜日を「周南市防災訓練の日」と定め、総合防災訓練を実施しており、平成29年度は、櫛浜地区と共に実施いたします。

「地域の仲間との付き合いが深まった」「地域の皆さんからねぎらいの言葉をかけていただき、嬉しかった」と若い団員が笑顔で語ってくれました。
公助の一翼を担う消防団の力を十分発揮していただくため、老朽化した車両等の充実を図ってまいります。

また、平成30年度の完了を目指して整備を進めております新庁舎の建設並びに防災情報収集伝達システムについても、着実に進めてまいります。
西消防署庁舎につきましても、平成32年度中の供用開始を目指して取り組んでまいります。

暮らしの安心安全への取組みも進めてまいります。
特に、高齢者への対応として、市内31地区すべてに設置した「もやいネット地区ステーション」を拠点に地域における高齢者の見守り活動を続けるとともに、高齢になっても可能な限り地域で生活できるよう医療と介護の連携を進め、安心して在宅での生活を送ることができる体制づくりに取り組んでまいります。さらに、今後も増加する認知症への対応や認知症予防への取組みを総合的に進めてまいります。
また、古川跨線橋の架け替えに向け、事業を着実に進めるとともに、スマートフォン等から道路の陥没などの異常箇所を通報できるアプリを導入し、市民の皆さんと共に、適切な道路維持を進めてまいります。

自立した地域づくりプロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
3つ目は、「自立した地域づくりプロジェクト」についてであります。

和田地区に伝わる1300年の伝統を誇る「三作神楽」の伝承と地域の新たな特産品づくりに取り組む
『神楽でまちづくりプロジェクト』

戸田地区の椎茸栽培による特産品づくりと障害者の就業に取り組む
『苔谷「農」×「福」連携プロジェクト』

須金地区の豊かな自然を生かした新しい観光産業の創出に取り組む
『山口県初 須金リトリートセンタープロジェクト』

そして、大津島地区の「石」の新たな魅力を発信し、交流人口の増加に取り組む
『石柱庵とナチュラルアートプロジェクト』

これらは、平成28年度からスタートした「共創プロジェクト」に採択された市民同士の連携による地域の課題解決の取組みです。
採択された団体からは「連携により新しい発想ややり方が生まれた」と
感謝の言葉をいただきました。平成29年度も、地域づくりに積極的に取り組む団体の発掘を進め、新たな共創プロジェクトの創出を支援します。また、プロジェクトを支援する「地域づくりプロデューサー」を育成します。

地域コミュニティによる地域づくりもしっかりと進めてまいります。
地域には、それぞれの歴史、伝統、文化が脈々と受け継がれています。地域づくりを画一的に進めることはできません。それぞれの地域特性を生かし、それぞれの課題に応じて、地域自らが考え、地域自らが実践する。そのような取組みを進めるために、本市では「地域の夢プラン」の策定を推進しており、現在11の地域で、それぞれの地域で考えられたプランを実践されています。平成28年度から、対象を中山間地域限定から市内全域に広げ、地域の自主的・主体的な活動や課題解決に向けた取組みへの支援を拡充しております。
平成29年度も、引き続き夢プランの策定及び実現を支援し、自立した地域づくりを目指してまいります。

生涯学習及び地域づくり活動の推進拠点である、公民館の整備も着実に進めます。
長穂地域では、「公共施設再配置計画」のモデル事業として、地域と共に検討を進め、老朽化した支所・公民館は、長穂小学校の敷地に移設することとし、平成29年度は、測量及び基本設計を実施します。
さらに、近隣の土地取得に目途がついたため、遠石公民館の整備を進めてまいります。
また、公民館とこれに類する施設につきましては、生涯学習だけでなく、地域の課題解決の拠点としての役割をより発揮できるようにし、地域づくり活動を全庁的に支援していくため、平成30年度からの市長部局化を目指します。

まちじゅう賑わいプロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
4つ目は、「まちじゅう賑わいプロジェクト」についてであります。

3月のダイヤ改正で徳山駅に停車する「のぞみ」は1本増え、16本に。
広島、福岡はもとより、大阪、東京からお越しいただく利便性が更に向上します。
平成30年2月、徳山駅前賑わい交流施設、そして全国に例のない新幹線の駅に隣接する図書館がオープンします。
中心市街地活性化の核となるこの施設には、年間120万人の来場者を見込み、ここで生まれた賑わいを中心市街地、さらには市全体の活性化につなげていきます。
本との出会い、人との出会いと交流は、市民の創造力を活気づかせ、市民一人ひとりの創造力が賑わいと交流の中で、つながり合い、このまちを変える新たな創造力に進化します。
そんな「知」を楽しむ賑わい交流施設、そして図書館を目指します。

まちなかにある動物園として親しまれている徳山動物園は、「自然学習館」と「野鳥観察所」を平成29年度にオープンさせるとともに、「ゾウ舎」と「ペンギンエリア」の整備に着手します。変わりゆく動物園を楽しんでいただきながら、平成39年度を目標に順次リニューアルオープンさせます。

まちなかを巡ってほしい。
駅、市役所、動物園、文化会館、美術博物館…。
中心市街地に来られる方にとって使いやすい交通環境をつくりたい。
このような想いのもと、私は「歩いて楽しいまちづくり」を実現するため、パーク・アンド・ライド機能の導入に向けて、これら施設の駐車場の連携と市街地循環バスの運行を検討します。

人が集い、出会う。そして、交流し、楽しみながら、まちを活性化する。そんなワクワク、ドキドキする中心市街地を市民の皆さんと共に創ってまいります。

また、人口減少と少子高齢化が進行する中で、これからのまちづくりには、生活の利便性を維持しながら、賑わいを創り出す「都市の骨格づくり」が重要となります。
そこで、徳山駅や新南陽駅周辺については、コンパクト・プラス・ネットワークの考えを基に、医療、福祉、子育て支援、商業などの都市機能の誘導や、誰もが利用しやすい公共交通などの充実を図るため、山口県初となる「立地適正化計画」を策定します。
さらに、平成29年度は、安心して快適に暮らせる居住のあり方について検討を行い、地域と拠点が連携し活力を生み出すまちづくりを進めてまいります。

観光については、地域の活性化に取り組まれている民間の活動を支援するとともに、現在進めております徳山駅前賑わい交流施設の建設に合わせ、集客力の高い魅力あるイベントを、周南観光コンベンション協会をはじめ関係団体と共に創ってまいります。また、台湾を中心とした国際観光にも、引き続き取り組んでまいります。

産業活力・富の創造プロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
5つ目は、「産業活力・富の創出プロジェクト」についてであります。

塩の輸入量、日本第1位。
石灰石の移入量、日本第1位。

「徳山下松港」が誇る物流能力の一端です。
「徳山下松港」は、本市の富の源泉であり、そして山口県の基礎素材型産業を支える工業港であるとともに、西日本地域の石炭バルク物流拠点であります。

現在、国において徳山地区では、更なる大型船が入港可能となるよう、岸壁延伸、泊地及び航路幅の拡幅のための調査設計等が着手されており、早期の工事着手を目指しておられます。
今後も、大型船の入港が可能となる大水深化整備に向け、国や県と共に、着実に進めてまいります。
 
次に、「水素先進都市」に向けた取組みです。
本市が誇る電解コンビナートでは、全国トップクラスの大量かつ高純度の水素が作られます。そして、本市で製造された液化水素は、ロケット燃料として宇宙開発にも貢献しています。

平成27年8月に中四国地方で初となる「水素ステーション」がオープンしたことを皮切りに、燃料電池の使用、また、水素の輸送・貯蔵に関する実証実験を行うほか、昨年は燃料電池自動車の無料カーシェアリングと水素を燃料とするゴミ収集車の運行実証実験の2つの日本初となる事業を開始しました。

平成29年度は、水素に関する知識や技術を広めるため、周南地域の中堅・中小企業を対象とした勉強会をスタートさせ、水素関連ビジネスの創出を目指します。

産業活力を更に高めるためには、港とコンビナートに加えて、新たなビジネスの創出が必要です。その原動力となるのが、若者と女性の活躍であると、私は考えています。
若者や女性がビジネスに挑戦できるまちをつくりたい。
若者や女性の活躍をまちの活性化につなげたい。
そのために、引き続き、商工会議所、金融機関等と連携した創業支援に取り組むとともに、若者や女性の雇用創出にもつながるクリエイティブ産業の集積とクリエイティブな人材の育成を進めてまいります。

また、農業・水産業の振興にも力を注ぎます。

山あり、里あり、海あり。本市の豊かな自然から産み出される農水産物。
地域の伝統文化を次世代に引き継ぎ、さらに新たな食文化の創造を目指します。
また、地元産品の付加価値を高める6次産業化にも取り組みます。
鹿野茶を使用した「鹿野和紅茶(わこうちゃ)」
新規就農者のトマトを使用した「トマトスイーツ」
ユニークな発想とアイデアが、周南市の新たな特産品を生み出します。
平成29年度も、「6次産業化・農商工連携フェスタ」の開催や「地産地消推進店」の認定を行うとともに、市内産を使った新商品の開発や販路開拓への助成を行い、「しゅうなんブランド」の創出と地産地消を推進します。

水産業につきましては、漁獲量拡大に向けて、引き続き、稚魚の放流や産卵用タコツボの設置を行います。また、藻場干潟の再生を目指し、大島干潟の保全活動を漁業者や地元住民と共に進めてまいります。

中山間地域振興プロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
6つ目は、「中山間地域振興プロジェクト」についてであります。

年明け早々、明るいニュースがマスコミで報じられました。
大道理地区の空き家で、プロの漫画家を目指して共同生活を送っている若者の一人が夢を叶え、デビューを果たしました。デビュー作では、実体験をもとに田舎暮らしに奮闘する様子やお隣さんとのエピソードが描かれており、移住生活の様子とともに、地域の方々の温かい気持ちが伝わってきました。

また、三丘地区では「孫が増えたみたいで、うれしいんちゃ、声を掛けとうなる」と移住して来られた子育て世帯との触れ合いを喜ぶ声が、私の耳に入ってきます。
「ずっとこどもがいるまち」をスローガンに、平成26年から始めた地域ぐるみの活動は、わずか2年10カ月という期間で、5世帯、大人9名、子ども8名を受け入るという成果をあげることができました。

中山間地域の面積は本市の約68%を占めています。その人口は、市全体の約12%であり、これらの地域では、都市部よりも速く人口減少が進んでいます。

自分たちの代で地域を衰退させるわけにはいかない。
自分たちの手で移住者を呼び込む。

大道理地区や三丘地区をはじめ、市内の中山間地域には、98名の「里の案内人」がおられ、地域一丸となって空き家の掘り起し、見学会のお手伝い、移住者を受け入れるための活動を行っています。
こうした活動は着実に成果として現れ始め、平成28年度は13世帯、23名の受入れにつながりました。

地域の皆さんによる自主的な活動を更に支援し、地元への誇りと愛着を育むことで「住み続けたい」と実感し、移住希望者が「住んでみたい」と思う中山間地域づくりを、共に汗を流し、共に知恵を出し、共に力を携えて、進めてまいります。

平成29年度は、受入れ体制の整備や起業支援を継続するほか、都市圏での移住相談会の開催や空き家にサテライトオフィスを開設する県外事業者の誘致に取り組みます。

大津島地区では、地理的に不利な環境の中で、身近な暮らしを守るため、移動販売車による買い物支援を行うほか、生活交通の確保など、地域と連携しながら取り組んでまいります。

また、鹿野地区では「集落支援員」を新たに配置し、今後3年かけて、夢プランの策定をはじめ、様々な生活サービスや活動、地域資源をつなぎ、暮らしを支える地域運営の仕組みづくりを住民の方と共に進めてまいります。

昨年の5月に、本市で新たに農業を志す方に対して、栽培技術の習得、農地や住居の確保、機械・設備の整備などを一体的にサポートする「新規就農パッケージ支援」を、全国に先駆けて導入いたしました。また、鹿野地区では昨年よりワサビの超促成栽培の実証実験を実施しており、これらの取組みを継続することで、中山間地域への移住につなげてまいります。

将来に向けた行財政経営プロジェクト

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
7つ目は、「将来に向けた行財政経営プロジェクト」についてであります。

私は、市長就任以来、
「今取り組んでこそ価値のあること」
「今の市民のため、そして将来の市民のために必要なこと」
を考えるという強い信念のもと、長期的な視点に立った財政運営を行ってまいりました。今後も、将来にわたり必要な行政サービスの提供が継続できるよう、第3次行財政改革大綱の取組みを積極的に推進してまいります。

大綱の柱の一つに「公共施設のマネジメントの推進」を掲げておりますが、公共施設の老朽化への対応は、避けて通ることのできない大きな課題であります。将来にわたる厳しい財政状況が予測されるなか、施設の総量抑制、長寿命化などにより、財政負担の軽減や平準化を進めるとともに、提供する行政サービスの維持、向上を図っていかなければなりません。
そのためには、公共施設再配置計画を着実に進めていくことが重要であり、まずは、その基本となる施設分類別計画について、平成29年度中の策定を目指して取り組んでまいります。

次に、経費の抑制や効率的な業務の推進にも積極的に取り組みます。
県内初となる、住民記録や税、国民健康保険などの基幹業務系システムの自治体クラウドの導入につきましては、平成30年稼働を目指し、しっかりと取り組んでまいります。これらを4市1町で共同利用することにより、本市においては、10年間で約8億円のコスト削減を見込んでおります。
また、文書管理を行うファイリングシステムを全庁的に導入し、行政事務の効率化に取り組みます。

「(仮称)西部地区学校給食センター」につきましては、民間の資金とノウハウを活用し、良質なサービスをより安価に提供できる、本市初のPFI方式により、平成32年度の供用開始を目指して取り組んでまいります。

本市の財政運営を展望しますと、歳入においては、市税収入の増が見込めず、また、地方交付税の合併優遇措置や合併特例債が終了を迎える一方、歳出においては、少子高齢化に伴う社会保障関係費の増や、インフラ施設を含めた公共施設の老朽化へ対応していく必要があり、厳しい財政状況に直面します。

こうした状況にあっても、持続可能な健全財政を堅持するため、徹底したコスト削減など「歳入に見合った歳出」を基本とした取組みを一層強化してまいります。

上記7つのプロジエクトに属さないが特記すべき重要な施策や想い

これまで説明しました7つの主要なプロジェクトにはございませんが、特に強い想いを持って進めたい主な取組みについてであります。

私は、心豊かな生活は、安心安全でゆとりのある環境があってこそ実現できると考えています。
先人たちが築いてこられた素晴らしいまち、周南市。
このまちに暮らす喜びと幸せが実感できる快適な暮らしの空間づくりを着実に進めます。
久米地区と富田地区で進めている土地区画整理事業については、平成31年度の完了に向けて引き続き取り組むとともに、市民の憩いの場である、周南緑地公園、永源山公園、鹿野天神山公園の整備を計画的に進めてまいります。

また現在、徳山駅周辺の中心市街地において、コンビナート企業の電力等のエネルギーを活用した、本市にしかできない取組みを進めており、平成29年度は、新南陽地域におきましても、関係企業の諸事情等をお聴きする中で、同様の取組みによる都市機能強化の可能性について検討してまいります。

野犬の問題には、引き続き、むやみな餌やりを禁止するとともに、平成29年度は新たに、動物の遺棄を防止するため、飼い主が行う不妊去勢手術に対する助成を行います。市内でも特に野犬が多く生息する周南緑地においては、平成28年度から環境省の支援を受けて対策に取り組んでおり、県が行う捕獲業務がより効果的となるよう協力するなど、国や県と連携し、市民の皆さまのご協力をいただきながら進めてまいります。

また、市民一人ひとりの人権が尊重されるまち、そして、男女が共に生き生きと働き、お互いに個性と能力を発揮できるまちづくりに向けた取組みも引き続き、進めてまいります。

「良く働き、良く遊ぶ」これは、私のモットーであります。
昨年11月に、職員のワーク・ライフ・バランスとキャリア形成を応援し、自らが仕事と私生活の充実に取り組む職場の上司「イクボス」を増やし、「働きやすく」「働きがい」のある職場づくりを進めるため、県内市町では初となる「イクボス宣言」を行いました。
この「イクボス」の考え方を広めるために、ご賛同いただいた市内事業者の皆さまと共に「しゅうなんイクボス同盟」を結成しました。今後も「イクボス」の輪を拡げ、「働きたいまち周南市」を目指してまいります。

以上が、平成29年度の取組みに対する私の想いであります。

おわりに

昨年の6月9日、周南市出身で明治の偉人である児玉源太郎の顕彰会が、有志の皆さんによって設立されました。
顕彰会の会長で、徳山市長を20年務められた小川亮さんは、
「児玉の業績と真実を後世に伝え、これからの人づくり、郷土づくりに生かしたい」と顕彰会活動への熱い想いを私に語られました。
念願であった顕彰会立ち上げにご尽力いただいた地元の皆さんに心から感謝申し上げますとともに、未来を見据えたこの活動をしっかりと支援してまいります。
郷土の偉人、児玉源太郎の顕彰は、周南市ならではの取組みであり、先人たちが築いたこのまちの歴史や文化を守り、次の世代へと引き継ぐ活動でもあります。

“共に。” 未来へ贈りたい周南市( まち )をつくる。
次世代に、想いをつなぐ。誇りをつなぐ。

この言葉を胸に刻み、これから迎える周南市の大きな変化をまちの活力につなげていくとともに、一つ一つの具体的な事業を着実に進めてまいります。

今、地方創生の実現に向けて、全国の自治体で様々な取組みが行われています。「地方」という言葉。都会からみれば、周南市は「地方」かもしれません。しかし、私たちにとって、周南市は、「地方」ではなく、「地元」なのです。そして、「暮らしの中心地」であります。
市民の皆さん、「暮らしの中心地である周南市」をもっと好きになっていくまちづくりを“共に”盛り上げていこうではありませんか。

“共に”の想いで挑戦する周南市政への変わらぬご理解、ご協力を重ねてお願い申し上げます。

平成29年2月22日
周南市長 木村 健一郎

平成29年度施政方針PDF版 [PDFファイル/544KB]

用語の解説 [PDFファイル/317KB]

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