所有者不明農地制度について
1 所有者不明農地(相続未登記農地)とは
不動産登記簿に登録されている田や畑などの農地のうち、相続登記がされていないこと等により、次のいづれかの状態となっている農地を「所有者不明農地」または「相続未登記農地」といいます。
(1) 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない農地
(2) 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない農地
2 相続登記がされないまま相続が繰り返されると
農地の所有者(登記名義人)が死亡した際に、相続登記をしないでそのままにしておくと、その農地は相続人全員の共有となります。
その後、相続が繰り返されると、共有者がねずみ算式に増えていきます。
3 所有者不明農地等の課題
共有地について利用権を設定するには、土地の所有権を有する者の共有持分の2分の1を超える同意が必要となります。
所有者不明農地や共有者不明農地(以下「所有者不明農地等」という。)を貸借するにあたり同意をとるため、農地の所有者(あるいは共有者(相続人))の探索に多くの時間が必要となり、担い手への農地集積・集約が円滑に進まないことや、場合によっては、農地が管理されないことで荒廃し、周辺の農地に悪影響を及ぼす恐れがあります。
4 所有者不明農地等の活用(耕作)を容易に
このような所有者不明農地等を簡易な手続きで借りられるようにした制度が「所有者不明農地制度」です。
・所有者不明農地制度のご案内(農林水産省) [PDFファイル/504KB]
この制度の詳細については、以下から、農林水産省のホームページをご確認ください。
(参考)所有者不明農地の活用について<外部リンク>(農林水産省ホームページ)
5 所有者がわからない農地でお困りの方へ
所有者や耕作者がわからないまま放置された農地を、ご自身で耕作することをご検討中の方は、所有者不明農地制度をご活用いただける場合もありますので、農業委員会事務局までご相談ください。
6 所有者不明農地等の利用権設定の手続き
所有者不明農地制度は、農業委員会による探索・公示等の手続きを経て農地中間管理機構が農地中間管理権(農地中間管理機構に設定される利用権のことです。以下基本的には区別せず「利用権」といいます。)を取得し、その後、耕作者へ利用権を設定する仕組みとなっています。
その際、農業委員会による不確知所有者や不確知共有者の探索範囲は、登記名義人の配偶者と子に限定されています。
また、農業委員会による探索後の公示期間は公示の日から起算して2か月間、農地中間管理機構の利用権の設定期間は最長40年となっています。
なお、所有者不明農地等に利用権を設定する手続きは、
(1)所有者が不明の場合、共有者(相続人)が1人も判明していない場合または共有者の中で貸付けに反対者がいる場合(以下「農地の所有者・共有者の全てが不明などの場合」といいます。)
(2)共有者(相続人)が2分の1超は判明していないが、1人以上判明した場合(以下「農地の共有者の2分の1以上が不明の場合」といいます。)で、異なります。
・所有者不明農地制度の概要(農林水産省) [PDFファイル/234KB]
・所有者不明農地制度のフロー(農林水産省) [PDFファイル/207KB]
(1)農地の所有者・共有者の全てが不明などの場合(農地法)
所有者不明農地の利用権設定は、農地法(昭和27年法律第229号)に基づく手続きになります。
なお、山口県農地中間管理機構である公益財団法人やまぐち農林振興公社(以下「公社」といいます。)では、農地法第41条に基づく所有者不明農地の利用権設定等に係る事務を適正かつ円滑に進めるため、次の要領により必要な事項を定めています。
・所有者不明農地の利用権設定等に係る事務取扱要領 [PDFファイル/1.43MB]
ア 農業委員会への遊休農地等を借りたい旨の申出等
農地を借りて耕作したい者(以下「借受希望者」といいます。)から農業委員会に対して、所有者が誰かわからない次の農地(遊休農地等)を借りたい旨の申出や相談があります。
(ア)遊休農地(農地法第32条第1項第1号または第2号の農地)
(イ)遊休農地化のおそれのある農地(同法第33条第1項の農地)
イ 農業委員会による不確知所有者の探索
農業委員会は、アの申出等を受けて、この農地の所有者等(農地の所有者またはその農地について所有権以外の権原に基づき使用および収益をする者をいいます。以下同じ。)について、不確知所有者の探索を登記名義人の配偶者と子までの範囲に限って行います(農地法第32条第2項および第3項(これらの規定を同法第33条第2項において準用する場合も含みます。))。
※権原とは、法律行為や事実行為を正当化する法律上の根拠や原因のことで物や権利を正当に支配・使用・処分できる根拠を意味します。以下同じ。
この探索は、農地法施行令(昭和27年政令第445号)第18条に規定する方法で行います。
ウ 農業委員会による所有者不明農地の公示
(ア)農業委員会は、イの探索を行ってもなおこの農地の所有者等(この農地が共有の場合には、2分の1を超える持分を有する者)を確知することができないときは、その旨等を公示します(農地法第32条第3項前段(同法第33条第2項において準用する場合を含みます。))。
・所有者不明農地に係る公示(農地法)(内部リンク)
(イ)(ア)の公示をする場合は、共有の場合には共有者のうち確知できている者に公示した旨を通知します(農地法第32条第3項後段)。
(ウ)また、(2)のオの(イ)の共有者の中でこの農地の貸付けに反対者がいる場合にも、この公示を行います。(農地法施行規則(昭和27年農林省令第79号)第74条の2の規定により農地法の探索を行ったとみなされる場合)。
(エ)なお、農業委員会は、この公示前に、公社に対し、県知事への裁定の申請に必要な事項のほか、この農地について、利用権取得の検討に必要な情報やこの農地の借受希望について、公社からの貸付けの検討に必要な情報を提供しておきます。
(オ)農業委員会は、(ア)の公示期間中(2か月)にこの農地(農地法第32条第2号に該当するものは除きます。)の所有者等から申出がなく(この農地が共有の場合には、申出の結果、所有者等で知られている者の持ち分が2分の1を超えないときを含みます。)、この公示によっても農地の所有者等を確知できなかったときは、公社にその旨を通知します(農地法第41条第1項前段)。あわせて周南市(以下「市」といいます。)へも情報提供を行います。
エ 公社による貸付条件等の決定
公社は、ウの(エ)の情報を踏まえ、利用権を取得する決定をし、県知事に対して裁定の申請を行う場合は、あらかじめ、農業委員会、市等と協議の上、県知事への裁定の申請に必要な事項をはじめ借受希望者への貸付条件等(利用権の存続期間、借受希望者への貸付期間、借賃および補償金の額の決定と支払方法など)について定めておきます。
オ 県知事の裁定による公社の利用権取得
(ア)公社は、ウの(オ)の通知の日から起算して4か月以内に、エの貸付条件を踏まえ、県知事に対して、この農地の利用権の設定に関し裁定を申請します(農地法第41条第1項後段)。
(イ)県知事は、公社に、この農地の利用権を設定すべき旨の裁定を行い(農地法第41条第2項により準用する同法第39条第1項)、その旨を公社に通知するとともに、これを公告します(農地法第41条第3項)。
(ウ)公社は、(イ)の通知があったときは、速やかに農業委員会および市に報告します。
(エ)公社は、(イ)の公告があったときは、裁定の定めるところにより、利用権を取得します(農地法第41条第4項)。
カ 農用地利用集積等促進計画(配分)による借受希望者への貸付
(ア)公社は、オの(エ)の利用権の取得後、借受希望者が利用権の設定を受ける(以下このことを「配分」といいます。)ために、農用地利用集積等促進計画(配分)の素案を作成し、農業委員会に提供します。
(イ)農業委員会は、農用地利用集積等促進計画(配分)の案を作成し、農業委員会の総会(以下「総会」といいます。)での議決を経て、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成25年法律第101号。以下「機構法」といいます。)第18条第11項の規定に基づき、同条第1項に規定する農用地利用集積等促進計画を定めるべきことを公社に対して要請します。
・農用地利用集積等促進計画(配分)(案) [PDFファイル/238KB]
(ウ)公社は、(イ)の要請を受けて、農用地利用集積等促進計画(配分)を策定し(機構法第18条第12項)、県知事の認可を求めます(同条第1項)。
(エ)公社は、県知事による農用地利用集積等促進計画の認可および公告がなされたら、借受希望者への利用権を設定し(機構法第18条第8項)、所有者不明農地を貸し付けます。
(2)農地の共有者の2分の1以上が不明の場合(農地中間管理事業の推進に関する法律)
共有者不明農地の利用権設定は、機構法に基づく手続きになります。
なお、農地中間管理事業を効率的かつ円滑に推進するため、公社と市では、農地中間管理事業業務委託契約を締結し、公社の業務の一部を市に委託しています。
ア 共有者や借受希望者からの貸したい・借りたい旨の申出等
借受希望者がいる共有者不明農地について、貸したい・借りたい旨の申出や相談は、次のようなケースが考えられますが、寄せられたこれらの情報は公社、市および農業委員会で共有されます。
(ア)共有者(固定資産税を納付するなどの事実上の管理者等)からの公社への農地を貸したい旨の申出
(イ)借受希望者からの公社への農地を借りて耕作したい旨の申出
(ウ)共有者(相続人)や借受希望者からの市や農業委員会への相談
(エ)公社や市、農業委員会からの共有者(相続人)や借受希望者への働きかけ
イ 市による農用地利用集積等促進計画(集積)の案の作成
市は、アの申出等を受けて、公社が利用権の設定を受ける(以下このことを「集積」といいます。)ために、申出等による貸付条件等(利用権の存続期間、借受希望者への貸付期間、借賃の額と支払方法など)を踏まえた農用地利用集積等促進計画(集積)の案を作成します(機構法第19条第2項)。
・農用地利用集積等促進計画(集積)(案) [PDFファイル/276KB]
ウ 市からの不確知共有者の探索要請
公社から農地中間管理権の取得に関する業務の委託を受けた市は、アの申出等を受けて、農用地利用集積等促進計画(公社が賃借権または使用貸借による権利の設定を受けるものに限ります。オの(ア)も同じ。)を定める場合において、公社が利用権を設定しようとする土地が数人の共有に係る土地であって、その2分の1以上の持分を有する者が確知できないもの(以下「共有者不明農用地等」といいます。)があるときは、農業委員会に対して、共有者不明農用地等について共有持分を有する者であって確知することができないもの(以下「不確知共有者」といいます。)の探索を行うよう要請します(機構法第22条の2第1項)。
エ 農業委員会による不確知共有者の探索
(ア)農業委員会は、ウの要請を受けて、不確知共有者の探索を登記名義人の配偶者と子までの範囲に限って行います(機構法第22条の2第2項)。
この探索は、農地中間管理事業の推進に関する法律施行令(平成26年政令第46号)第4条に規定する方法で行います。
(イ)農業委員会は、この探索により判明した共有者には、この農地を貸し付けることについての同意をとっておきます。
オ 農業委員会による共有者不明農用地等の公示
(ア)農業委員会は、エの(ア)の探索を行ってもなお共有者不明農用地等について2分の1以上の共有持分を有する者を確知することができないときは、確知している全ての共有者の貸付けの同意を得て、公社の定めようとする農用地利用集積等促進計画(イの農用地利用集積等促進計画(集積)の案と同じ。)、共有者不明農用地等について2分の1以上の共有持分を有する者を確知することができない旨、公社が賃借権または使用貸借による権利の設定を受ける旨、その権利の種類、内容、始期および存続期間ならびにその権利が賃借権である場合にあっては、借賃ならびに公社からの支払いの相手方および方法等を公示します(機構法第22条の3の規定)。
・共有者不明農用地等に係る公示(農地中間管理事業の推進に関する法律)(内部リンク)
(イ)なお、共有者の貸付けの同意が得られなかった場合(共有者の中で貸付けに反対者がいる場合)は、機構法によるこの探索を農地法による探索とみなし(農地法施行規則第74条の2)、(1)のウの(ウ)の農地法による所有者不明農地の公示を行います。
(ウ)農業委員会は、(ア)の公示期間中(2か月)に不確知共有者から、農用地利用集積等促進計画または公社が賃借権もしくは使用貸借による権利の設定を受ける旨ならびにその権利の種類、内容、始期、存続期間、その権利が賃借権である場合にあっては、借賃、公社からの支払いの相手方、方法について異議の申出(機構法第22条の3第5号)がなかった場合には、農用地利用集積等促進計画について同意したものとみなし(機構法第22条の4)、公社にその旨を通知します。あわせて市へも情報提供を行います。
カ 市による農用地利用集積等促進計画(配分)の案の作成
(ア)市は、オの(ウ)の情報提供を受けて、アの申出等による貸付条件等(利用権の存続期間、借受希望者への貸付期間、借賃の額と支払方法など)を踏まえた農用地利用集積等促進計画(配分)の案を作成し(機構法第19条第2項)、イの農用地利用集積等促進計画(集積)の案と一体的にまとめた上で、農業委員会への意見聴取を行います(同条第3項)。
・農用地利用集積等促進計画(集積)(案) [PDFファイル/276KB]
・農用地利用集積等促進計画(配分)(案) [PDFファイル/238KB]
(イ)農業委員会は、(ア)の意見聴取に対して、総会の議決を経て市へ答申を行います。
(ウ)市は、農用地利用集積等促進計画(集積)の案および農用地利用集積等促進計画(配分)の案を公社に提出します(機構法第19条第2項、第4項)。
キ 農用地利用集積等促進計画(集積)による公社の利用権取得
(ア)公社は、カの(ウ)の提出を受けて、農用地利用集積等促進計画(集積)を策定し、県知事より権限移譲された市長の認可を求めます(機構法第18条条第1項)。
(イ)公社は、市長による農用地利用集積等促進計画の認可および公告がなされたら、利用権を取得します(機構法第18条第8項)。
ク 農用地利用集積等促進計画(配分)による借受希望者への貸付
(ア)公社は、キの(イ)の利用権の取得後、カの(ウ)の提出を受けて、農用地利用集積等促進計画(配分)を策定し、県知事の認可を求めます(機構法第18条第1項)。
(イ)公社は、県知事による農用地利用集積等促進計画の認可および公告がなされたら、借受希望者への利用権を設定し(機構法第18条第8項)、所有者不明農地を貸し付けます。




