本日ここに、令和8年度当初予算案をはじめ、関係諸議案のご審議をお願いする市議会の開会に当たり、私の市政運営に臨む所信を申し上げ、市民並びに議員の皆さまのご理解とご賛同を賜りたいと思います。
【令和時代の大局観】
令和も8年目を迎え、時代の特性が少しずつ見えてくるようになりました。現在、私たちはパラダイムシフトの渦中にあり、AIという新たな存在と同居しています。
私は、いつの時代も行政は「小利を見ず大局を見る」ことが重要であり、目前の利益に走らず、社会構造の変化や科学技術の進化などに着目し、物事をやや長いスパンで捉えて、まちの繁栄と市民の幸福を追求する姿勢が大切だと考えています。
この「大局を見る」とは、観念的に受け止められがちですが、具体的には実効性のある小さな実践・小局を積み重ねる「着眼大局・着手小局」がその真髄であると思います。
私は市長就任以来「市民に寄り添い分かり合える市政の実現」「品格と誇りのある住みたくなるまち、未来が生まれるまち」を旨とし、「2050年を乗り越えられる周南市になる」を市政推進の心掛けとしてパーパスに掲げました。
そして「第3次まちづくり総合計画」において、基本理念に「将来世代へ責任あるまちづくり」、まちの将来像を「未来を歩む 生命力 満ちるまち」と定めて「このまちの未来と約束」を交わしました。
令和8年度も、こうした一貫性をさらに定着させ、「着眼大局・着手小局」の行政土壌を培ってまいりたいと考えます。
【ブレイクスルー・シティ】
本市は、令和8年度から新たな着想として「ブレイクスルー・シティ」を掲げ、まちづくりのギアを上げてまいります。ブレイクスルーとは「現状の壁や困難、旧来の常識を打ち破り、新たな価値を創造して、飛躍的な進展を導くもの」と解されており、ブレイクスルー思考とは「将来のあるべき姿から逆算して現在の施策の最適化を図るもの」とされています。そこには問題解決の糸口となる着眼すべき点が多々あることから、新たな価値の創造が期待できるといわれています。
例えば、将来世代につなぐインフラマネジメントを考えるとき、これをブレイクスルーさせることで進化が見えてきます。
インフラは、社会生活や経済活動を支える道路・橋りょう、上下水道、河川、港などの施設と、市民生活の質を高めるための行政・公園・医療・教育・文化・衛生・住宅などの施設があります。これらの点検・調査といったメンテナンスと、多様化するニーズに応える整備を一体的に捉えるマネジメントが、将来的には必要だと考えます。そして、この分野にブレイクスルー思考を導入することで、新テクノロジーの導入が可能となり、効率化が図られ、関連する分野においても新たな価値の創造が期待できると考えます。
また、ブレイクスルー思考の有意義性は施策展開の全般に及び、地域の経済力を高める施策を検討する場合も、地域からの女性の流出問題を検討する場合も、あるいはこどもまんなか社会の着想においても、課題の本質や根源的な問いに対して有効なアプローチができるものだと考えられます。
私は、ブレイクスルー思考は令和の市政になくてはならないものであり、時を失わず、本市はこれに意欲的に取り組むまちに転換すべきだと思います。
【「これまでは」 から 「これからは」】
今春間もなく、昨年実施された国勢調査の結果が公表されます。大変厳しいものが予想されますが、まずは本市がこの結果を真摯に認識し、市役所自身が先頭に立って、時代に合う姿に変わっていかなければならないと考えます。そのためにも、職員のさらなる意識改革を求めてまいりたいと思います。固定観念や価値観、旧来の知見に頼る「これまではこうだった」という考えがもはや通用しないことをこの結果は歴然として私たちに突きつけています。
本市職員の使命のひとつは、まちの生命力を育み蓄えることです。それには「これまでは」を「これからは」に置き換え、ブレイクスルー思考に徹することが必要です。
私は、令和8年度も以上のような考えをもとに全ての施策において、国・県そして市民や企業の皆さまと相互の信頼とリスペクトを大切にする連携のもとで、将来世代との約束をひとつひとつ着実に果たしてまいる覚悟です。
それでは、令和8年度の取組について「第3次周南市まちづくり総合計画前期基本計画」を構成する二つの柱「まちの強み進化戦略」と「市民生活を支える基盤強化」の視点に沿って、順次ご説明いたします。
体系の一つ目の柱である「まちの強み進化戦略」について申し上げます。
「まちの強み進化戦略」では、「進化させる」「育む」「種をまく」の3つに分類し、それぞれの取組を展開しております。
日本社会における少子高齢化はますます顕著となり、生産年齢人口の減少は労働力不足を招き、地域や産業の担い手不足などの課題を深刻化させています。本市も例外ではなく、こうした厳しい局面を迎えている今だからこそ、本市が持つポテンシャルを最大限引き出し、その強みを進化の原動力として、あらゆる課題の解決、そして、魅力の向上につなげていきたいと考えております。
まず、まちの強みを「進化させる」戦略についてです。
ここでは、本市の強みとするものとして、「脱炭素への取組」「地域生産力」「子育て施策」の3つを位置づけ、施策の束として戦略的に取組を展開してまいります。
まず1つ目の「脱炭素のまちづくりを推進する施策の束」についてです。
世界共通の課題である地球温暖化への対策として、カーボンニュートラルの取組は必要不可欠です。
本市の周南コンビナートには、化学をはじめとする多様な基礎素材型産業が集積しており、高付加価値の素材を供給している一方、CO₂排出量が非常に多く、その削減が課題となっています。産学官で手を取り合い、カーボンニュートラルの実現に向け、揺るぎない姿勢で乗り越えなければなりません。
こうした中、「周南コンビナート脱炭素推進協議会」では、「周南カーボンニュートラルコンビナート構想」の実現に向け、エネルギー、CO₂、廃棄物、バイオマスといったテーマごとに議論を進めております。専門的かつ実践的な社会実装の取組を進め、周南コンビナートの産業競争力の維持・強化とカーボンニュートラルの両立を目指します。
また、国の「GX戦略地域」創設を捉え、本市の取組をさらに加速させるべく、県と一体となってコンビナートのグリーントランスフォーメーションを推進してまいります。
脱炭素社会の実現のためには、こうしたコンビナートの取組にとどまらず、全ての者が自主的かつ積極的に課題へ向き合っていく必要があります。
本市においても、市民・企業・行政の3者が、相互に連携しながら、各主体による取組を進めています。引き続き、公共施設へのLED照明導入や太陽光発電の設置を進めるとともに、市民に対しても電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、ZEHへの補助などで脱炭素社会への啓発を図ります。
また、大島干潟を拠点に市内全域で、CO₂吸収源となるアマモ場等のブルーカーボン生態系の創出・拡大を実施するとともに、大島干潟、戸田漁港に続く第3の候補地を選定し、ブルーエコノミーの実現につなげてまいります。
次に、2つ目の「地域の生産力・外貨獲得力を高める施策の束」についてです。
物価高騰といった地域経済を取り巻く課題に向き合う中で、地域の生産力を維持していくことが非常に重要と考えております。
特に、農林水産業における生産基盤の整備による生産性・収益性の向上が求められています。
道の駅ソレーネ周南は、将来を見据え、さらなる進化を図るため、リニューアル計画を進めています。令和8年度は、約3.5ヘクタールの事業予定地を取得するとともに、施設の設計・建設・管理運営を行う事業者の募集を開始いたします。
また、引き続き、国と連携し、駐車場の拡張・再編工事に早期に着手できるよう取り組んでまいります。
農業基盤整備については、長穂、中郷、鹿野地区のほ場整備を計画的に進め、営農の省力化や優良農地の集積・集約等を、国や県の補助を活用しながら、持続可能な農業につなげてまいります。
森林資源の適正管理や循環利用の促進については、市や個人が所有する森林を面的にまとめて施業の効率化を図り、生産性の向上に取り組みます。
また、需要が高まる木質バイオマス材の生産体系の構築のため、引き続き、早生樹の植林によるモデル事業を進めてまいります。
まちの強みを「進化させる」戦略の最後3つ目「こどもまんなか社会を実現する施策の束」についてです。
本市では、安心して子どもを産み、育てることのできるまちを目指し、子育てを多角的に捉え、地域社会全体で子育てを応援する風土の醸成に努めています。
こどもまんなか社会の実現に向け、多様化する保育ニーズにも対応しながら、施策展開を図ってまいります。
令和8年4月に、公立の認定こども園となる須々万こども園を開設します。現在、新園舎の整備を北部拠点施設と一体で進めており、秋頃を目途に新施設への移転を目指します。また、徳山中央部においても、令和9年4月の開設に向け、保育所と子育て支援機能を兼ね備えた子育て支援の中核施設の整備を進めます。
こどもの成長発達に不安や育てづらさを抱える保護者の伴走支援など、親子の包括的な支援体制を構築してまいります。
こども誰でも通園制度については、令和7年度の試行的事業を踏まえ、本格実施に向けた体制の整備を進めます。保護者の需要も踏まえたうえで受入施設等の増加を目指し、さらなる子育て支援サービスの拡充に向け、しっかり取り組んでまいります。
また、就学前の大切な時期にある5歳児を対象に、発達特性を分析することができるオンライン問診を活用した5歳児健康診査を開始し、学校生活に向けて子どもに合わせた適切な支援につなげてまいります。
さらに、学校給食については、安全・安心で質量ともに充足した給食を提供するため、適切な学校給食費に改定いたします。そのうえで、国が予定する小学校給食費の抜本的な負担軽減に対しては、国の交付基準額を超える差額を市が負担し、完全無償化といたします。中学校については、当面の間、保護者負担額を据え置くこととし、材料費の高騰部分を市が負担いたします。今後についても、国の動向を踏まえつつ対応を検討してまいります。
次に、まちの強みを「育む」戦略についてです。
本市の潜在する諸問題の改善を図るため、「企業力」「雇用力」「デジタル力」「教育力」の4つを位置づけ、進化に向けて戦略的な展開を行います。
まず1つ目の「企業の変革・創業・立地を促す施策の束」についてです。
地域経済の縮小や労働力の不足など、企業を取り巻く経営課題がある中で、本市における商工業が持続可能なものとなるためには、産業基盤の強化や雇用の確保などが求められます。
地域経済の屋台骨である製造業の維持・発展のため、次世代エネルギーへの対応をはじめ、市内企業の挑戦を後押しする取組を展開してまいります。
徳山下松港は、高い水準で維持されている石炭需要だけでなく、再生可能エネルギーであるバイオマスを取り扱いながら、アンモニア供給拠点化など、多角的エネルギー供給拠点港湾へ進化することが求められています。この港は、天然の良港であり、防災拠点としてのポテンシャルも高いことから、現行整備事業の早期完成だけでなく、カーボンニュートラルポート形成に向けた整備についても、引き続き国や県へ要望してまいります。
企業誘致については、県と連携しながら新たな雇用創出に積極的に取り組み、地域経済の持続的発展と活性化を図ってまいります。あわせて、製造業やコンビナートの設備投資を支援することで、事業の拡大や新たな事業者の進出、カーボンニュートラルへの転換を推進してまいります。
また、物価高騰や人手不足など厳しい経営環境を乗り越えようとする市内中小企業の挑戦を支えるため、商工会議所などの支援機関と連携して、経営課題の解決に向けた取組を支援し、事業の継続、拡大、創出を図ってまいります。
2つ目は「人材を育成し雇用力の向上を図る施策の束」についてです。
人口減少や高齢化が進む中、労働力の不足は各企業にとって深刻な課題であり、大きな影響を及ぼしています。人材の育成・確保の重要性は以前にも増して高まっていることから、市内事業所の人材確保や求職者の就労促進のため、事業者と連携した施策を展開してまいります。
社会環境の変化による多様なニーズへの対応には、サービスの提供を担う人材の確保が必要です。そこで、こども分野においては、市内の私立就学前施設に保育士等として新たに就職した方へ支援金を支給します。
また、福祉分野における人材を確保するため、市内の介護保険サービス事業所に介護職員等として新たに就職した方への支援金の支給や、介護・障害の支援専門員資格の取得及び更新にかかる研修費用への補助制度を創設し、サービス提供体制の充実につなげてまいります。
これまで取り組んできた、農業、漁業分野の新規就業者の確保・育成に向けた支援についても、緩めることなく引き続き取り組んでまいります。
次に3つ目として「情報力・デジタル力を生かす施策の束」についてです。
急速に発展してきたAIやICTといったデジタルを活用したテクノロジーは、この先さらに社会・経済活動の変革をもたらすことが期待されています。
こうした先端技術を積極的に活用し、市民サービスと生産性の向上を図り、様々な社会的課題の解決や新たな価値の創造につなげてまいります。
スマートシティ推進事業については、引き続き、「周南市スマートシティ構想」に基づき、あらゆる分野においてデジタル技術等を活用し、これまで以上に利便性の高い、快適な暮らしの実現を目指します。
市役所本庁舎において、令和7年3月に導入した窓口支援システムのさらなる活用やコンビニ交付の利用促進に取り組むことで、市民の利便性向上と業務改善による職員の負担軽減を図り、窓口DXを推進してまいります。
また、広報紙の閲覧が困難な方へ市政情報を届ける仕組みをより発展させるため、AIによる音声読み上げ機能や多言語表示の導入により、市民サービスを充実させてまいります。
市民への迅速かつ的確な情報伝達のため、防災のDX化により様々な情報伝達媒体から避難情報を的確に発信してまいります。
また、災害時の孤立集落対策として通信手段の確保を図るため、衛星インターネット通信機器である「スターリンク」を配備します。
まちの強みを「育む」戦略の最後の4つ目「教育力を向上させる施策の束」についてです。
少子高齢化やデジタル技術の躍進など、多様化・複雑化する社会環境の変化の中においても、「生き抜く力」を備えた子どもたちを育む教育環境や、誰もが地域社会の担い手として成長し活躍できる環境の充実はなくてはならないものです。
まず、快適な教育環境の整備のため、小中学校の特別教室への空調設備の早期整備に取り組んでまいります。学校体育館への空調設備についても、整備に向けた調査を進めます。
また、少子化が進む中、児童生徒の学習環境の改善や十分な教育効果の実現に向け、学校や保護者、地域と連携しながら小中学校の適正規模・適正配置について検討してまいります。
特別な支援や介助を必要とする児童生徒が安心して学校生活を送り、自らの力を伸ばしていけるよう、生活指導員や介助員を適切に配置することで、教育環境の充実に引き続き取り組んでまいります。
中学校の部活動の地域展開に伴い、中学生の放課後の活動のひとつとして、新たに「しゅうなんコミュニティクラブ」を立ち上げ、中学生の「やってみたい」の実現に向けて、企画から実践までをサポートしてまいります。
中須自然の家については、安全・安心な環境で、さまざまな体験活動や交流を通じて、次代を担う青少年の育成を推進するため、令和8年8月に大田原自然の家から移転し、供用を開始いたします。
次に、まちの強みとなる「種をまく」戦略についてです。
将来に向け、強みとなる種をまき、発芽を促し、大きく成長させることは本市の魅力向上となり、品格と誇りのある風土づくりにつながります。
まず、1つ目「文化や知の力を風土づくりに生かす施策の束」についてです。
地域文化を芽生えさせ、育むことでまちの魅力を高めていき、文化の薫るまちづくりに取り組んでまいります。また、高専や大学といった本市が誇る「知の拠点」と連携しながら、まちづくりを進めてまいります。
周南市文化会館については、長寿命化や施設機能の維持向上を図り、利用者の安全・安心を確保し、今後も質の高い舞台芸術の鑑賞及び文化活動の場を提供する観点から、引き続き、大規模改修工事に向けた準備を進めてまいります。
また、周南公立大学と協力して、学生や若者が定着するための事業案の検討・実施に向け、意識調査などを実施します。知の力を活用し、市内の若者に選ばれるまちづくりに努めてまいります。
2つ目「ひとの流れをつくり選ばれるまちをつくる施策の束」についてです。
「選ばれるまち」となるためには、観光やスポーツ、暮らしの環境といった地域の強みとなる特性を高めることが重要です。
あらゆる施策を通じて賑わいを創出し、人を引き寄せ、人の記憶に残るような魅力あるまちとなるよう取組を進めてまいります。
若者の市内への定着・定住や移住につなげるため、同世代の若者が学校や職場、家庭以外でつながり、互いに支え合える関係性を構築するサードコミュニティの形成を進めます。
部活動の地域展開に伴う地域クラブ活動の推進については、各団体への財政的支援やサポート体制整備などの取組を進めてまいります。
中学生等の文化芸術・スポーツ活動をさらに充実させ、次代を担う人材育成による地域の活性化を図るため、「地域クラブ推進室」を文化スポーツ観光部に新設します。
スポーツコンベンションの拠点である周南緑地では、レイズネクスト周南総合競技場の供用開始をはじめ、健康ルームを備えた屋内水泳場の完成など、PFI事業による全てのリニューアル工事が令和8年度で完了する予定です。新たな施設を大いに活用し、スポーツを通じて、市民の皆さまの健康づくりや地域の活性化に取り組んでまいります。
徳山動物園では、南園エントランスに機関車広場、北園にオオワシ・トラ舎をオープンします。生き生きとした動物たちの姿をご覧いただけるよう、動物のストレス軽減を目的とするアニマルウェルフェアに配慮しながら、リニューアル事業を進めてまいります。
徳山駅から御幸通、市民館跡地までのエリアにおいては、連続性のある一体的な景観を形成し、回遊性向上に向けた、歩きたくなる憩いと賑わいのある空間を創出するために、景観デザインに関する方針の策定を行います。
市民館跡地の利活用については、山口銀行徳山支店まで含めたエリア全体の整備へ向けた基本構想、基本計画の策定を進めるとともに、国の出先機関が集約された周南地方合同庁舎の事業着手が見込まれることから、国との連携・調整をより図ってまいります。
鹿野観光交流拠点施設については、造成工事、建築主体工事等に着手するなど、令和9年度中の供用開始に向けて着実に取り組んでまいります。
さらに、令和8年10月から12月までの間、山口デスティネーションキャンペーンが開催されることから、本市ならではの観光資源を全国に向けて発信する好機と捉え、コンテンツ造成やPR活動を推進し、交流人口の拡大や地域経済の活性化につなげてまいります。
次に、総合計画の体系のもう一つの柱である「市民生活を支える基盤強化」について申し上げます。
市民の皆さまの安全・安心な暮らしを支えていくためには、道路や上下水道などのインフラや、保健・福祉・防災といった生活基盤が強固でなくてはなりません。
「市民生活を支える基盤強化」では、関連する施策の目的や使命に合わせて施策を3つに分類し、より高品質な行政サービスの提供を行うことで、住みやすい・住み続けたいまちを目指します。
まず、1つ目「人生100年時代の暮らしと生きがいを支える施策の束」についてです。
医学の進歩、健康意識の高まりにより我が国では長寿社会を迎え、「人生100年時代」とも言われております。
住み慣れた地域で誰もが年齢に関係なく活躍でき、生きがいを持って暮らせる社会をつくることが重要です。そのため、健康寿命の延伸に向けた取組のほか、希薄化している地域でのつながりを創出する地域福祉施策に積極的に取り組んでまいります。
現在整備を進めている北部拠点施設は、令和8年秋頃の供用開始を目指し、着実に取り組んでまいります。本施設では、現在の支所・市民センター機能に加え、マイナンバーカードの申請、受取、更新の手続が可能となるほか、地域公共交通の結節点として、バス停や待合スペースを整備します。
障害のある方の重度化・高齢化、そして養護者である親の高齢化が進む「8050問題」や「親亡き後(あと)」の課題への取組として、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう「地域生活支援拠点」の機能の充実を図ってまいります。
ひきこもり支援については、本人の自己肯定感を向上させ、社会とのつながりを少しでも回復できるよう、引き続き、本人や家族に寄り添いながら、安心して利用できる居場所づくりや伴走支援を行うとともに、関係機関等とのネットワーク強化による支援体制の充実にしっかり取り組んでまいります。
全国的に認知症への関心が高まっている中、「新しい認知症観」に基づき、正しい理解の促進や予防、相談体制の整備、社会参加支援を総合的に推進するとともに、認知症の人の視点を重視した認知症施策推進計画の策定に取り組みます。
また、若い世代に多く見られる、朝食をとらない習慣や野菜の摂取不足、栄養バランスの偏りといった食生活上の課題解決に向け、周南公立大学及び道の駅ソレーネ周南との連携による食育推進事業を新たに開始いたします。
次に、2つ目「安全安心な暮らしの環境を整備する施策の束」についてです。
近年、頻発化・激甚化する自然災害に対し、インフラの整備等のハード対策と併せて、自主防災組織などとの連携による自助・共助の体制づくりや、デジタル化を通じた防災・減災対策の高度化に対応していくことが求められます。
市民の生命と財産を守ることを第一に、防災・減災意識の機運の涵養を図り、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
道路や橋りょう、河川、公園など、社会や人々の生活を支える基盤となる施設について、壊れてから直す事後的な対応に頼るのではなく、将来を見据えた計画的な管理を行う、「インフラマネジメント事業」を推進してまいります。
計画的な点検・調査や、事故や災害を未然に防ぐ予防的な対応に加え、新しい技術の活用やDXの推進など、効率的な維持管理を進め、2050年以降も安心して暮らし続けられるまちの実現に向け、上下水道も含めたインフラマネジメントを着実に進めてまいります。
また、道路交通の利便性と安全性を確保するため、野村一丁目7号線や中開作線、中溝線の整備工事を計画的に進めます。
現在架け替え中である古川跨線橋については、線路上空へのトラス橋の送り出しを終え、工事は順調に進んでいます。引き続き、鉄道事業者などの関係機関と連携し、一日も早い完成を目指します。
河川の整備については、流域住民の生命や財産を守る施策の推進がより強く求められていることから、計画的な浚渫や改修によって流下能力を確保し、機能の維持に努めてまいります。
また、大地震の発生への備えとして、大規模盛土造成地の地盤災害の防止・軽減を図るため、地盤調査等を行い、安全性の確認・把握に取り組みます。
適正に管理されない空き家については、所有者に対し適切な管理を促すとともに、解決のための支援を行うことで、危険空き家の除却、適正管理及び利活用の推進を図ってまいります。
野犬対策については、引き続き、県による捕獲活動に協力するとともに、野犬の棲みにくい環境づくりに取り組みます。加えて、保護犬の譲渡に係る支援やペットの終生飼養の市民啓発などを通じ、動物愛護の意識の醸成につなげます。
また、近年クマによる人身被害が全国的に増加している中、市民の皆さまの安全・安心な暮らしを確保するため、万が一の事態に備えて緊急銃猟が円滑に実施できるよう、新たに関係機関を交えた訓練の実施や防護盾などの安全対策備品を整備するとともに、集落にクマを誘引する柿や栗の木などの伐採に対し補助します。
高齢者等のごみ出し支援事業については、令和7年度の実証事業の結果を踏まえ、対象者の要件やごみの回収頻度等を拡充し、本格的に実施します。併せて安否確認も行いながら、日々のごみ出しが困難となっている高齢者などの生活の支援につなげます。
社会情勢の変化により人権問題が複雑・多様化する中、「市民一人ひとりの人権が尊重され、だれもが自分らしくいきいき輝くまち」の実現を目指し、人権教育・啓発に引き続き取り組んでまいります。
最後に、3つ目「高い行政力と職員力を構築する施策の束」についてです。
ライフスタイルの多様化やあらゆる技術の進展に伴い、市民ニーズも多様化・高度化が進んでおります。そうした環境の変化の中においても、柔軟に対応し、質の高い行政サービスを提供していく必要があります。変化を恐れず、しっかりと時代の潮流に適応していき、高い行政力をもってまちづくりを推進してまいります。
公共施設等の総合管理計画である「周南市公共施設再配置計画」については、策定から10年が経過したことから、改訂します。住民サービスの維持・向上を見据え、将来世代に負担を先送りしないことを前提に、引き続きこの計画をもとにして維持管理や更新を行ってまいります。
消防指令業務については、令和8年4月から光地区消防組合との共同運用を開始し、周南地域における効率的かつ効果的な消防通信指令業務の遂行につなげます。
最後に、その他の重要な取組について申し上げます。
今なお続く、エネルギー・食料品価格の物価高騰によって影響を受ける地域経済や市民生活を支援するため、引き続き、実情に応じてきめ細やかな対応をしてまいります。生活を支えるための給付金事業やプレミアム付商品券といった経済支援をはじめ、これからも安心してこのまちに住み続けていただくよう、物価高騰に負けない対策を迅速に進めてまいります。
私たちは今日、有史以来初となる生命体以外の頭脳との本格的な共生の世界に入りました。既にこの頭脳は日常生活全般から経済産業活動において広く用いられ、行政業務の様々な場面でも導入されつつあります。私たちにはこの頭脳を、まちづくりにどのように組み入れ、どう賢明に活用するかが問われています。
そこで私たちは、AIに過度に依存し服従するのではなく、常にAIの主として、AIに学習させ、考えさせ、指示・命令する立場に立たなければなりません。そのためにもAIを使いこなせる人材の育成が急務となります。
幸い本市には、地域から高い評価を受ける、躍進目覚ましい徳山工業高等専門学校や周南公立大学があります。この2校との「知の拠点連携」により、AI頭脳の活用を意欲的に進めてまいりたいと考えます。
今日、私たちは昭和・平成とは全く異質な流れの時代にいます。私は、今こそ固定概念や慣習にとらわれることをやめ、広く深く世の中に目を配り、「将来世代の幸福」という、このまちの未来と交わした約束を果たすために、今成すべきこと、今やるべきことを、全力で取り組んでまいりたいと思います。
市民の皆さま、議員の皆さまの温かいご理解とご協力をお願い申し上げます。
令和8年2月17日
周南市長 藤井 律子