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令和3年度施政方針

印刷用ページを表示する更新日:2021年2月22日更新 <外部リンク>

はじめに

施政方針演説

本日ここに、令和3年度予算案をはじめ、関係諸議案のご審議をお願いする市議会の開会にあたり、私の市政運営に臨む所信を申し上げ、議員並びに市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。

まずは、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症により、お亡くなりになられた方々へのお悔やみと、罹患された方々へのお見舞いを申し上げ、早期のご回復を心からお祈り申し上げます。

また、この感染症と最前線で向き合っていただいております医療従事者、福祉関係者、保健所の皆様をはじめ、全ての関係者の皆様に深く敬意を表し、心から感謝の念を捧げたいと思います。

昨年12月末に市内で初めてクラスターが発生し、その後もクラスターが相次いで発生するなど、本市においても多くの感染者が確認されています。

本市はこれまで新型コロナウイルス感染症対策として、市独自の緊急対策を積極的に講じ、感染拡大の防止と市民生活・市経済への影響の緩和に努めてまいりました。

さらに、1月15日には、ワクチン接種を円滑かつ確実に実施するため「新型コロナウイルスワクチン対策室」を設置しました。

引き続き、市民の皆様の生命と暮らしを守るため、迅速かつ積極的に新型コロナウイルス感染症対策を進めつつ、ワクチン接種に向けて、関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。

市民の皆様におかれましては、いま一度感染症対策を徹底していただきますようお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症は、いつどのような形で収束していくのか誰にも予測できませんが、コロナ禍によりデジタル社会の構築が加速されるなど、今後、新しい日常が生まれ、定着してくることが予測されます。

こうした中で、政府は、脱炭素政策による「グリーン社会の実現」について表明しており、本市においても、新たな時代の流れをしっかりとつかみ取り、スマートシティの推進や新エネルギーの利活用、デジタル&グリーンなどをはじめとする「時代を先取る施策」を研究・検討し、実施していかなければなりません。

大きな時代の変化が予測されますが、こうしたときこそ、SDGsの理念にもある「誰一人取り残さない」を念頭に、市民の皆様の声を聞き、寄り添い、「分かり合える市政の実現」を一層目指していかなければならないと考えています。

このような考えのもと、「第2次周南市まちづくり総合計画後期基本計画」における3つのまちづくりの基本的な視点に沿い、令和3年度の取り組みについて述べさせていただきます。

市民に寄り添う~ひとづくり・暮らしづくり~

1つ目の基本的な視点「市民に寄り添う~ひとづくり・暮らしづくり~」について申し上げます。

子どもたちは本市の宝です。

子育てに関わる皆様に寄り添い、子どもたちが笑顔で暮らすまち、子育ての幸せがあふれるまちを目指して、この4月から「こども局」を新たに設置するとともに、こども医療費助成制度の拡充や保育支援者の配置支援、学校業務支援員の配置などの施策を実施することで、子ども・子育て支援のより一層の充実・推進を図ってまいります。

また、災害による備えや野犬対策などを引き続き実施することで、市民の皆様が日々安心して暮らせるように、防災減災対策、安心安全対策に努めてまいります。

それでは、この視点に基づく4つのプロジェクトについて、順次申し上げます。

みんなで子育て応援プロジェクト

1つ目は、「みんなで子育て応援プロジェクト」についてです。

安心して子育てができる環境を整備し、子どもたちの健やかな成長を「まちぐるみ」で応援するとともに、人口減少対策、少子化対策にもつなげてまいります。

これまで、こども医療費の助成については、段階的に対象者の拡充を図ってきましたが、子育て支援の更なる充実に向けて、本年10月から小学生にかかる対象要件の所得制限を撤廃し、小学校6年生までの医療費を完全無料化いたします。

このことにより、本市の子どもにかかる医療費は、乳幼児から小学生までが無料、中学生は所得制限を設ける形で無料となります。

コロナ禍で、多くの方々が出産や子育てに不安を抱えておられることと思います。

産前産後の不安な気持ちに寄り添い、妊産婦の負担を軽減するため、里帰りが困難な妊産婦へのケアや多胎妊産婦への育児支援など、産前産後にかかる事業を拡充します。

また、子育て支援センターに助産師等の専門職員を配置することで相談体制の強化を図るとともに、乳幼児の成長のサポートを行うなど、こども・子育て相談センターと連携し、妊娠、出産、子育て期にわたる切れ目のない支援を一層充実してまいります。

保育施設の老朽化や多様化する保育ニーズに対応するため、公立保育所の再編整備を着実に進めます。令和3年度は、周央保育園の移転・民営化のほか、私立保育所が行う施設整備・改修を支援してまいります。

また、保育士の業務負担を軽減するため、清掃や遊具の消毒等の業務を行う保育支援者の配置に加え、保育に関する計画・記録や保護者との連絡などの業務のICT化を図り、保育の充実を図るための環境整備を支援してまいります。

輝く子ども育成プロジェクト

2つ目は、「輝く子ども育成プロジェクト」についてです。

子どもたちが心豊かにたくましく生きていくための「生き抜く力」を育む教育の充実を図るとともに、未来を担う全ての子どもたちの現在及び将来を見据え、子どもたちが元気に笑顔で過ごせるまちづくりに取り組みます。

本市では、国から示された「GIGAスクール構想」の着実な実現に向け、児童生徒1人当たり1台のタブレット端末の整備や校内通信ネットワークの増強、大型ディスプレイの整備など、ICT教育環境の更なる向上に向けた取り組みを進めています。

令和3年度は、これらのICT機器の有効な活用に資するため、ICT支援員などによる教員研修の充実に加え、デジタル教科書や学習総合支援システムを導入するなど、子どもたちの学力向上を図る質の高い学びの実現に取り組んでまいります。

学校は子どもたちが一日の大半を過ごす場であり、安心安全で快適な教育環境を確保することが重要です。

遊具の改修をはじめ「周南市学校施設等長寿命化計画」を踏まえた施設改修を計画的に進めるとともに、引き続きトイレの洋式化に取り組みます。さらに鹿野小・中学校を対象とした、小中一貫教育の実践に向け、鹿野小学校校舎の改修工事を実施してまいります。

拡大する新型コロナウイルス感染症への対応等により教員は多忙を極めています。

教員がその専門性を活かしつつ、子どもたちと接する時間を十分に確保するため、令和2年8月から、補助業務を行う学校業務支援員を22名増員し、48名としている体制を令和3年度においても維持してまいります。

また、教員の働き方改革を進めるため、新たに部活動にかかる専門的知識・技能を有する部活動指導員を6名配置し、あわせて県から委託される「やまぐち部活動改革推進事業」に取り組みます。

定住促進奨学金の貸付額を増額するとともに、個々の状況に応じてその額を選択可能とするなど、奨学金制度の拡充を図り、経済的な理由で修学が困難な学生・生徒を支援してまいります。

全ての子どもたちが、生まれ育った環境によって将来が左右されることなく、学び、チャレンジできるように、子どもの居場所づくりや学習・生活支援、専門相談等の取り組みを幅広く進めていきます。

放課後子供教室と児童クラブの一体化を図るため、こども・福祉部が所管している児童クラブ担当を教育部に移管します。これらの窓口を一つにすることで、放課後等における子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進してまいります。

市民を守る防災・減災プロジェクト

3つ目は、「市民を守る防災・減災プロジェクト」についてです。

近年の激甚化・頻発化する災害に対応すべく、国において国土強靭化基本計画、県において山口県国土強靭化地域計画が策定されています。

本市においても、国、県の計画と調和を図りながら、令和2年度中に策定する「周南市国土強靭化地域計画」に基づき、将来的に発生が予想される南海トラフ地震や他の大規模自然災害等への備えを進めることで、強靭で安心安全なまちづくりを推進してまいります。

災害発生件数の増加傾向に伴い、令和2年度の避難世帯数は5年前の約10倍と急増しています。的確かつ迅速な避難行動ができるように、洪水ハザードマップを改訂し、対象河川の流域に居住する市民に配布するとともに「Web版ハザードマップ」についても改訂します。

避難の判断基準となる情報収集の強化を図るため、県に河川カメラや水位計の設置を要望し、新たに二級河川島田川、錦川等に設置されることとなりました。

また、浸水被害から市民を守るため、市が管理する準用河川の改修や浚渫について、引き続き計画的に進めてまいります。

災害時における市民の皆様の安心安全を確保するため、食料、飲料水、毛布等の確保に加え、非常用発電機やブルーシートなどの防災資機材を配備します。

あわせて、コロナ禍における避難所運営体制を整備するため、引き続き、避難所運営に必要な物資等の確保や分散避難の啓発など、三密に配慮した避難所対策に取り組んでまいります。

農村地域の防災力向上を図るため、ため池ハザードマップの作成や不要なため池の廃止など、計画的に防災減災対策を実施してまいります。

橋りょうの老朽化が進み、長寿命化の推進が必要であることから、「周南市橋梁長寿命化修繕計画」に基づき、適切な修繕に取り組むなど、引き続き計画的な維持管理に努めてまいります。

架け替え中の古川跨線橋については、通行止めによる市民生活や企業活動等への影響が大きいことから、渋滞対策や安全対策など、十分な対策を講じています。地域の皆様の声を大切にしながら、鉄道事業者や警察等と連携し、一日も早い完成を目指してまいります。

赤線、青線等の法定外公共物については、地域において適切な維持管理を実施していただいていますが、担い手不足等により、維持管理が困難な状況の地域もあります。地域の負担を軽減するため、原材料支給上限額の拡充や補修等にかかる工事費への補助を新設いたします。

消防力を充実させるため、通信指令体制の強化を図ります。

このたびの電波関係法令の改正に伴い、現在運用中の多重無線システムを令和4年11月末までに適合機器に更新することで、安定した消防通信を確保し、多様化する災害に対処してまいります。

安心安全実感プロジェクト

4つ目は、「安心安全実感プロジェクト」についてです。

市民の皆様が、安心安全を実感し、誰もが住み慣れた地域で一生元気に暮らせるまちづくりに取り組みます。

令和元年度に県が設置した「周南地域の野犬問題に関する連絡協議会」を軸に、県、警察と連携し、周南緑地を中心とした捕獲檻の設置や、むやみな餌やり禁止パトロールの実施など、様々な対策に取り組んでまいりました。

しかしながら、いまだに野犬による被害が発生していることから、引き続き、しゅうなん通報アプリの活用等による情報収集に加え、大型捕獲檻の増設、むやみな餌やり禁止と動物の遺棄・虐待防止の徹底を呼び掛けるキャンペーンの実施など、野犬対策を推進し安全対策の充実を図ってまいります。

適切に管理が行われていない空家等が増加しており、倒壊の恐れや環境衛生の悪化など周辺住民へ与える影響も大きく、その対応は重要な課題となっています。

令和3年度においては、空き家の実態調査により所有者等から得たニーズを整理・分析するとともに、新たな空家対策を検討し、空き家の適正な管理及び利活用の推進を図ってまいります。

安心安全な地域社会を実現するため、自治会による防犯活動は重要です。

防犯灯設置に伴う自治会の負担を軽減するため、LED防犯灯の更新にかかる補助上限額の増額や防犯灯の移設にかかる補助を新設するなど、防犯灯設置費補助金制度の拡充を図ってまいります。

自家用車などの移動手段を持たない高齢者の買い物、通院などの日常生活における移動が課題となっていることから、令和2年度においては、高齢者に対する移動支援として、市内3地区でバス・タクシー運賃の一部を助成する実証実験を行っています。

本年10月からは対象地域を市内全域に広げて助成制度を実施していくことで、高齢者に対する移動支援の更なる充実を図ってまいります。

認知症、知的障害、その他の精神上の障害等により、自分ひとりで適切な判断をすることが困難な人の権利を守り、必要な支援が受けられるよう、成年後見制度の利用を促進する体制づくりに取り組みます。令和3年度は、制度に関する周知啓発や相談窓口の設置などを実施してまいります。

平成30年度から整備に着手していた休日夜間急病診療所が5月に完成し、10月から診療開始となる予定です。徳山中央病院の近接地に立地することから、二次救急との連携がとりやすくなり、一次救急を必要とする患者が安心して受診できる体制が確立されます。

2 シビックプライドを育む~まちづくり~

次に、2つ目の基本的な視点「シビックプライドを育む~まちづくり~」について申し上げます。

本市は、自然の豊かさと発展した産業が調和しており「住むによし」、「訪れるによし」、「働くによし」、「学ぶによし」と、多面的な魅力を擁するまちです。そこで何よりも、市民の皆様がこのまちで暮らすことを「誇り」に思えるようなまちづくりを進めてまいります。

そのために、新たなシティプロモーションや地域資源を活かした「日常をときほぐす観光」、徳山大学公立化の検討、徳山北部拠点施設整備などを推進することで、関係人口の創出、まちの魅力の向上、地元に残る人材の確保と育成を主眼とした施策を展開してまいります。

それでは、この視点に基づく3つのプロジェクトについて、順次申し上げます。

住みたい・訪れたいまち創造プロジェクト

1つ目は、「住みたい・訪れたいまち創造プロジェクト」についてです。

新たなシティプロモーションのキャッチコピーを「ここから、こころつながる。周南市」といたしました。このキャッチコピーのもと、市民や本市にゆかりのある人たちをつなぐ「関係人口100万人ネットワーク」の核となる応援団への加入促進を図り、まちづくりの力となっていただくとともに、シビックプライドの醸成につながる取り組みを進めてまいります。

地域の人材を育成し、地域が求める人材として還元していく地域人材循環構造の確立を図るとともに、徳山大学が「地域に輝く大学」としてさらに発展するため、公立化についての検討を行っています。

令和3年度は、これまでに開催した有識者検討会議による報告書を踏まえ、市民の皆様から広くご意見を伺うため、シンポジウムや市民説明会などを実施した上で、なるべく早い時期に公立化の方向性を決定してまいります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、身近で気軽に観光を楽しむ新しいスタイルが注目されています。

新しい生活様式の中でも、自然の中でゆったりと安心して楽しめる「日常をときほぐす観光」への取り組みを進め、観光という視点での地域づくりを通じて地域の活性化を図っていきます。

引き続き、地域資源の掘り起こしや磨き上げを進めるとともに、「日常をときほぐす観光」に関するWebサイトの本格運用をスタートさせ、地域の魅力を市内外に発信してまいります。

徳山下松港は、令和4年2月に開港100周年という、記念すべき節目を迎えます。開港100周年を契機に、次の世代に引き継ぐ大切な財産である港や海への愛着、誇りを醸成する様々な取り組みを、国、県、下松市、光市、関係団体と一緒に行ってまいります。

現在、徳山動物園では魅力ある動物園づくりを目的として「徳山動物園リニューアル基本計画」に基づき、計画的に整備を進めています。

令和3年度には、アジアの熱帯雨林に生息するマレーグマやコツメカワウソの新獣舎、大型プールなどが整備された国内最大級のゾウエリアが全面オープンする予定であり、引き続き、リニューアル事業を推進してまいります。

本市のスポーツコンベンション拠点施設である周南緑地において、PFI手法の導入や社会情勢の変化への対応に向け、「周南緑地基本計画」の見直しを行うとともに、令和5年度からのPFI導入を目指し、事業を担う民間事業者の選定手続きを進めてまいります。

市内全域に「地域の夢プラン」の取り組みが広がり、各地区の特色を活かした魅力ある地域づくりが進められています。引き続き、地域の課題解決や魅力を高める活動が活発に展開されるよう、活力あるコミュニティづくりを推進してまいります。

暮らしやすいコンパクトなまちづくり推進プロジェクト

2つ目は、「暮らしやすいコンパクトなまちづくり推進プロジェクト」についてです。

人口減少・少子高齢化社会の進展に対応した「コンパクト・プラス・ネットワーク」の取り組みを進めていくとともに、「周南市地域公共交通計画」に基づく施策の展開を図り、コンパクトなまちづくりと一体となった、効率的で利便性の高い交通ネットワークを構築してまいります。

徳山駅周辺については、令和2年度をもって徳山駅南口駅前広場が完成し、徳山駅周辺整備事業が完了します。今後は、徳山駅前賑わい交流施設をはじめ、駅前広場、自由通路等の公共空間及び公共施設の利活用を推進するなど、「第2期周南市中心市街地活性化基本計画」に基づき、魅力ある中心市街地の再生・充実に取り組みます。

また、民間主導で取り組まれている徳山駅前地区第一種市街地再開発事業に対して、継続支援を行ってまいります。

長年にわたり市の東西で進めてきた久米中央及び富田西部第一土地区画整理事業は、宅地や公共施設の整備工事が概ね完了し、引き続き、早期の完了に向け事業を進めてまいります。

また、富田地区で進めている中溝線道路整備事業は、臨海部と国道2号をつなぐ交通ネットワークを形成し、円滑で安心安全な道路空間を確保するための重要な幹線であり、着実に整備を進めてまいります。

持続可能な中山間地域づくりプロジェクト

3つ目は、「持続可能な中山間地域づくりプロジェクト」についてです。

中山間地域において、地域の皆様や関係人口をはじめとした多様な主体の力を結集し、安心して暮らし続けられる地域づくりを進めてまいります。

令和2年度から、徳山北部地区において生活圏の中心となっている須々万地区に拠点施設を整備するため、地域の皆様の意向を取り入れながら、施設の整備方針となる基本計画の策定に取り組んできました。

現在、この検討が最終段階を迎えており、令和3年度は基本計画に基づき、施設の整備用地の取得に向けて用地測量等の調査を行ってまいります。

地域の担い手となる移住者の受け入れを促進するため、空き家の改修経費の助成制度の拡充や周南市ふるさと振興財団との連携によるリモート等を活用した相談対応を行う体制づくりを進めるなど、移住者の受入体制を強化してまいります。

持続可能な生活交通システムの維持・確保を図り、中山間地域における生活の利便性を高めるため、コミュニティ交通の導入を進めていきます。

現在、徳山北部地区においては、大道理、鹿野、八代、須金、中須の5地区でコミュニティバスの運行をしており、令和3年度からは新たに長穂地区において本格運行を開始します。

平成28年度から進めている長穂地区の圃場整備が令和6年度に完了する予定です。

今後の圃場整備については、令和2年度に合意形成が整った中郷地区を予定しており、引き続き準備作業に取り組むこととし、地区の農業関係者が策定した集落営農構想を圃場整備事業に反映させ、担い手への農地集積や高付加価値化などにより、地域の農業や集落の活性化を図ってまいります。

高齢化が進む大津島地区住民の皆様が元気で安心して暮らし続けられるように、従来の移動販売車による買い物支援に加え、新たに、出身者の皆様など関係人口の力を活用しながら、身近な暮らしの困りごとを解決するための仕組みづくりを支援してまいります。

周南の強みを活かす~産業づくり・行財政基盤づくり~

次に、3つ目の基本的な視点「周南の強みを活かす~産業づくり・行財政基盤づくり~」について申し上げます。

本市は、北はなだらかな中国山地、南は穏やかな瀬戸内海という自然の造形美と豊かな産物や優しい人情味もあり、訪れる人を癒す豊かな素材にあふれています。

さらに、国際バルク戦略港湾である徳山下松港や周南コンビナートの企業群は、県の経済を支え、市民に力強く元気を与えてくれる存在となっています。

こうした優れた本市の素材を磨き、発展させ、次の世代に引き継ぐことが、今を生きる私たちの使命だと認識しています。

そのために、脱炭素化に向けた新エネルギーの利活用の推進、徳山下松港の整備、農林水産業・商業・工業などの各種産業の発展、スマートシティの推進等に取り組むとともに、将来を見据えた行政経営についても計画的なものとなるように推進してまいります。

それでは、この視点に基づく3つのプロジェクトについて、順次申し上げます。

地域経済を支える産業力強化プロジェクト

1つ目は、「地域経済を支える産業力強化プロジェクト」についてです。

昨年、国が表明したカーボンニュートラル宣言を受け、市内コンビナート企業では、脱炭素化に向けた取り組みが加速しています。

本市においても、平成26年度から国、県、企業と連携しながら水素利活用の取り組みを進めるとともに、令和元年度からは緑山バイオマス材生産モデル事業を開始し、木質バイオマス材の生産・利活用に取り組んでいます。引き続き、「水素とバイオマス」2つの新エネルギーの利活用の推進を図ってまいります。

また、国は、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じた「カーボンニュートラルポート」の形成に向けて、徳山下松港を含む、全国6地域で検討会を開催したところです。徳山下松港が新たなエネルギー拠点港湾へと進化し、脱炭素社会の実現に貢献できるよう、国、県、企業と一体となって、この取り組みを推進してまいります。

あわせて、現在進められている航路・泊地・岸壁等の港湾整備については、周南コンビナートの国際競争力強化のために必要な事業であることから、引き続き、本事業の早期完了を目指し、国や県への要望を進めてまいります。

周南コンビナートの企業各社は、コロナ禍においても時代のニーズを捉えた多様な成長産業への設備投資とともに、研究所や物流施設など、コンビナートの更なる機能強化につながる投資も進められています。

こうした動きをより力強いものとするため、引き続き、事業所等設置奨励補助制度や本社機能移転等促進補助制度などを活用し、未来につながる設備投資を促進することで、地域経済の持続的な発展と安定した雇用の創出・拡大を図ってまいります。

女性や若者の雇用を促進するため、求人情報と連携した就労支援サイトを立ち上げ、本市の企業や仕事の魅力を動画で発信するとともに、仕事を始めたい人が利用しやすい「まちなかビジネス支援拠点」を整備してまいります。

地域産品のブランド力強化プロジェクト

2つ目は、「地域産品のブランド力強化プロジェクト」についてです。

農林水産業の振興を図るため、担い手の確保や地域産品の付加価値向上を図ってまいります。

「しゅうなんブランド」認定品をはじめとする地域産品を、シティプロモーション事業と連携して効果的に情報発信し、ブランド力の強化及び消費の拡大を図るとともに、新たな地域産品を創出するため、本市の農林水産物を活用した6次産業化の取り組みを支援してまいります。

また、地産地消の推進拠点である道の駅「ソレーネ周南」と中山間地域等にある直売所との連携により、地域の活性化や地域間交流の促進に取り組みます。

農業の担い手減少に対応するとともに、移住・定住につなげていくため、新規就農者パッケージ支援事業を継続して実施します。

移住就農に関心のある若者を対象に、就農フェアへの出展やリモートによる相談対応、「おためし農業体験」の実施などを進め、新たな担い手の確保と育成を図り、持続可能な農業振興を推進してまいります。

また、水産業を支える担い手を確保するため、新規漁業就業者の定着促進にかかる支援を行います。あわせて、漁業生産活動の安全確保や効率化等を図るため、漁港施設の整備を計画的に推進するとともに、持続的な水産資源の利用や漁獲量の増加を目指し、トラフグ、キジハタなどの稚魚の放流や産卵用たこつぼの設置を行い、人材・資源の両面から水産業の振興を図ってまいります。

安定した行財政運営プロジェクト

3つ目は、「安定した行財政運営プロジェクト」についてです。

今後、社会のデジタル化が急速に進んでいくものと考えられます。

本市においても、令和2年度中に「スマートシティ構想」を策定し、4月からは「スマートシティ推進室」を立ち上げ、医療や福祉、産業、教育などの各分野における先端技術、ビッグデータ等を活用したまちづくりに本格的に着手します。

RPAやAI-OCRを活用することで、業務プロセスや定型業務の自動化・効率化を図り、新たな政策の企画・立案や市民とのコミュニケーションの充実等につなげることで、市民サービスの向上を図ってまいります。

また、令和4年度の運用開始に向けて、電子入札システムを導入します。建設工事や測量・設計等の業務の入札を電子化することにより、新しい生活様式に対応するとともに、応札者の利便性や入札の透明性の向上を図ってまいります。

新南陽総合支所の早期完成に向けて、旧総合支所敷地内での建設場所の選定を令和2年度に前倒しで実施したところであり、令和3年度から本格的に設計等に着手します。

新南陽地域の総合的な行政サービスの拠点として、令和6年度中の完成を目指して整備を進めてまいります。

老朽化した鹿野総合支所の建て替えに当たり地域で説明会を開催し、多くのご意見をいただきました。

様々な観点から鹿野地域の将来にとって何が一番よいのかを熟慮した結果、旧鹿野公民館を解体し、公民館敷地及び鹿野中学校駐車場敷地を総合支所として一体的に整備することとし、令和3年度は基本設計・実施設計業務に着手します。

また、現総合支所の敷地については、鹿野地域の豊かな観光資源を活かした本市北部の観光交流拠点としての活用を検討してまいります。

福川南地区においては、公共施設再配置のモデル的な取り組みとして、児童館の廃止に伴い、コミュニティセンターを移転し、地域づくりの拠点として再整備するなど、地域活動の活性化と施設の有効活用を図ってまいります。

その他の重要な施策

最後に、これまでご説明したプロジェクトにはございませんが、その他の重要な施策についてです。

市民の皆様の声をしっかりとお聞きしながらまちづくりを進めるため、昨年4月に市民の声を聞く課を新たに設置しました。

これまで市民の皆様から寄せられたご意見、ご提言を参考に、ひとり親世帯に対する支援などの新型コロナウイルス感染症に関する対策を実施するとともに、令和3年度においては、こども医療費助成制度を拡充することといたしました。

市民に寄り添い、市民と行政が相互に分かり合える市政の実現に向けて、引き続き取り組んでまいります。

新型コロナウイルス感染症に関連する誤解や偏見に基づく差別は決してあってはなりません。「市民一人ひとりの人権が尊重されるまち」の実現を目指し、様々な人権課題について、総合的かつ効果的な教育・啓発に引き続き取り組んでまいります。

また、犯罪被害者等に寄り添うため、「犯罪被害者等支援条例」の制定に着手します。被害者やご家族は、犯罪による直接的な被害に加え、うわさや中傷などによる二次的被害にも苦しめられるため、適切な対応と支援が必要です。

一日も早く平穏な生活を取り戻せるよう、地域社会で被害者やご家族を支えるまちづくりを進めてまいります。

おわりに

私たちは、コロナ禍の収束を願いつつも、長期化することも想定しておかなければなりません。

その影響は市の財政にも直接及ぶことが予想され、少子高齢化や人口減少、公共施設やインフラの老朽化など「待ったなしの課題」を数多く抱えていることから、市政全般において大変厳しい状況となることも予測されます。

私は、こうした状況下においても、市民の皆様の生命と暮らしを守ることを最優先に掲げ、新しい日常や急速に変化していく産業界の動きも視野に入れつつ、意欲的かつ適切な施策展開を図ってまいる所存です。

今日のように大変困難な時代であればこそ、議員並びに市民の皆様、そして本市を応援してくださる全ての皆様と、尚一層、心を一つにしてコロナ禍を乗り切り、新たな時代に向けての市政運営に、全庁を挙げて、全力で務めを果たしてまいる覚悟でございます。

何卒、ご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

令和3年2月22日
周南市長 藤井 律子

令和3年度施政方針 [PDFファイル/608KB]

施政方針用語解説 [PDFファイル/541KB]

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