皐月の青空は生気に満ちています。それは冷えた空気がもやとなり晴嵐となって梢を揺らすからでしょうか。ひときわ映える柿若葉、明るい樫若葉、清々しい椎若葉、繊細な若楓、のびのび繁る樟若葉のせいなのでしょうか。
樟の木はある日一斉に黄白色の小花を咲かせ、古い葉を落としながら若葉に着替えます。その素早さは歌舞伎の「早替わり」にも似た見事なもので、頃合いを見計らって常緑の務めを果たす健気さを感じます。
岐山通りには20本の樟の木があり、なかには樹齢百年を超えると思われる大樹が何本もあります。たくましい根を大地の四方に張りめぐらせ、大魔神の腕を想わせる枝を左右に広げ天にそびえ立つ姿は、ブナが「森の母」カシが「森の大王」なら、ここのクスは「まちの守り神」といえるのではないでしょうか。
今、市役所の周囲は若葉で覆われています。シビック交流センター2階の交流室1は、二方向に開かれた大きな窓が巨樹に迫り、自然界の生気が溢れる「役所のなかの別天地」となっています。とくにこの時期は陽の光を受けた若葉が黄金色に輝き、格別さが極まります。私の一番のお気に入りの部屋です。どうぞご利用ください。