いつの頃からか大掃除や餅つきなどの迎春準備が簡便になり、慌ただしい師走の雰囲気は随分と変わりました。
一方、スマホなどの発達にも関わらず、「年末には帰省したい」「お正月は故郷で」と望郷の念にかられる特別な月であることに、今も昔も変わりはないようです。
♬兎追ひしかの山 小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷
如何にいます父母 恙なしや友がき
雨に風につけても 思ひいづる故郷
志をはたして いつの日にか帰らん
山はあおき故郷 水は清き故郷♪
(文部省唱歌『故郷』 作詞/高野辰之)
旧制徳山中学・現徳山高校校歌の作詞者でもある高野辰之氏は、明治9年奥信濃の農家に生まれ若くして故郷を離れ多くの困難を乗り越えて文学博士になられた方です。『故郷』の他にも『朧月夜』『紅葉』『春が来た』『春の小川』などを作詞し、故郷愛にあふれる歌詞は、いつの時代も人々の心を愛情深く包み込むものとなりました。故郷を「忘れがたきもの」「思ひいづるもの」そして「励みとなるもの」と歌うこの歌を、口ずさむだけで涙腺が緩むのは私だけでしょうか。
師走になると、たくさんの人たちが故郷周南に思いを馳せられることと思います。帰省される方々を「お帰りなさい」と、この歌詞を胸に温かくお迎えしたいと思います。
皆さま、どうぞ良き新年をお迎えくださいませ。